【プレビュー】古典から近現代まで―― 富士山を描いた文学作品を紹介 特設展「文学の中の富士山」 山梨県立文学館で7月17日から

会期:2021年7月17日(土)~8月29日(日)、月曜休館(ただし8月9日は開館)

会場:山梨県立文学館(甲府市貢川、JR中央線甲府駅バスターミナル1番乗り場から御勅使、竜王駅経由敷島営業所、大草経由韮崎駅、貢川団地行きのバスで約15分、山梨県立美術館で下車。

観覧料:一般330円、大学生220円ほか。

※来館前に文学館公式サイト(https://www.bungakukan.pref.yamanashi.jp)で開館時間や観覧料などの最新情報を確認してください。

 

古くから詩歌、小説など、多くの文学作品で描かれてきた富士山。本展では、芥川龍之介が旧制高校時代に書いた作文原稿、太宰治の手紙、草野心平の絵画など、直筆資料を中心に、作家たちと富士山の様々なかかわりを紹介する。

太宰治 井伏鱒二宛書簡 1939(昭和14)年1月24日

「おかげさまにて私たちどうにか大過なくやつて居ります」と書かれているのは、太宰治が井伏鱒二に送った手紙。結婚して間もない頃に甲府市御崎町から出されたものだ。富士河口湖町の御坂峠にある天下茶屋で富士山と向かい合った日々を描いた「富嶽百景」の中で、井伏の実名を出したことを詫びる内容となっている。

芥川龍之介「富士山」原稿

芥川龍之介の作文は、第一高等学校二年生の時に書いたもの。幼い頃に日本橋から眺めた春の富士山を描いている。草野心平は生涯を通じて富士山を作品のテーマとし、数多くの詩を創作、書や絵画も手がけた。

草野心平「黒富士」 水彩画

このほか、山梨県の富士河口湖町に生まれた作家・翻訳家の中村星湖が早稲田大学在学中に地元を舞台に描いた小説「少年行」の原稿も展示。この作品は、「早稲田文学」の懸賞小説で一等に当選した。富士桜高原に山荘を建て多くの時間を過ごした武田泰淳の小説「富士」の原稿、泰淳の妻、百合子の日録「富士日記」も紹介する。

中村星湖「少年行」原稿

関連イベントとして8月1日には、学芸員による講座「古典文学の富士山-平安時代を中心に」を開催。定員は40人で、希望者は、7月18日から講座前日までに電話(055-235―8080)で申し込む。先着順で、定員になり次第締め切る予定。