「マーク・マンダース」を特別展示 7月17日から 東京都現代美術館

マーク・マンダース《乾いた土の頭部》2015-16  作家蔵(特別展示) Courtesy of Zeno X Gallery, Antwerp Photo: IMAI Tomoki

東京都現代美術館(東京都江東区)は、7月17日(土)からマーク・マンダースによる特別展示「保管と展示」を公開する。6月22日まで同美術館で開催されていた個展「マーク・マンダース  ーマーク・マンダースの不在」はコロナ禍で途中約1か月間休館を余儀なくされ、公開期間が短くなった。この事態を受けて同美術館が作家と話し合い、作品返却までの間を利用して新たな展示を急きょ企画した。同館の所蔵作品を軸として、同展出展作品の一部を全く異なる構成で見せる内容となる。

マーク・マンダースは1968年、オランダのフォルケル生まれ。現在はベルギーのロンセにスタジオを構え、現代のアートシーンに独自の地位を占める作家として広く知られる。マーク・マンダースは同館に寄せたレターの中で以下のように綴っている。

 パンデミックのために展覧会を閉じなければならなかったのは残念ですが、2回目の展覧会を開くというアイデアは素晴らしいと思います。・・・観客にとって、また「マーク・マンダースの不在」展を見ることができた人たちにとっても、この「保管」の展示は素晴らしいものになると思います。同じ作品で2つの異なる展覧会が現代美術館で実現するというのは大変ユニークなことです。

マーク・マンダース《椅子の上の乾いた像》2011-15
Photo: Ichiro Otani

作家から提示された「保管と展示」というプランは、同美術館所蔵の《椅子の上の乾いた像》と、ボンネファンテン美術館所蔵の《マインド・スタディ》の2点が、展示空間全体を挟み込むごとくに両端に「展示」。その一方で、残りの作品をいわば仮に「保管」しているように穏やかに配置する、という構想になっている。「マーク・マンダースの不在」展では個々の作品を精緻に配置することで、作品間の関わりをめぐる「一つのセンテンス」の実現が企図されていたが、今回の展示では、個々の作品がセンテンスを構成する以前の、いわばバラバラな単語の集合体として、一種中間的な状態として提示される。「マーク・マンダースの不在」を見た人も、そうでない人もそれぞれに作品の魅力を体験する。何よりこの緊急的な展示に、現在のコロナ禍によって宙ぶらりんな状態を強いられている私たちの生活を透かしみることもできるだろう。

「日常」を描く現代作家たちのアンソロジーも

「マーク・マンダース 保管と展示」は、同館のコレクション展「MOTコレクション」展の一環として同館3階で行われる。1階を会場とする「MOTコレクション」展では、「Journals 日々、記す」と題して現代作家たちの約70点を展示する。私たちの生活を一変させたコロナ禍や災害、オリンピック、何気ない日常などを背景に日々、制作された作品をアンソロジーのように構成する。

注目としては、Chim↑Pomが緊急事態宣言下の東京を舞台にした新収蔵作品。

Chim↑Pom《May, 2020, Tokyo(大久保駅前)―青写真を描く―》2020
Courtesy of the artist and ANOMALY Photo: Kenji Morita
Chim↑Pom《May, 2020, Tokyo(大久保駅前)―青写真を描く―》2020
©Chim↑Pom Courtesy of the artist, ANOMALY and MUJIN-TO Production

大岩オスカールがニューヨークでの隔離生活中に制作した新作版画20点と、オリンピックに関わる3都市(リオデジャネイロ、東京、パリ)をテーマにした6メートルを超える大作《オリンピアの神:ゼウス》(いずれも特別出品)が展示される。

大岩オスカール《タイムズ・スクエア、ニューヨーク》2020 アートフロントギャラリー蔵(特別出品)
©OSCAR OIWA Courtesy of Art Front Gallery
大岩オスカール《オリンピアの神:ゼウス》2019 (部分)
作家蔵(特別出品)

蜷川実花、島袋道浩、竹内公太、三宅砂織、照屋勇賢、河原温ら有力アーティストの作品が私たちの生きる社会や日常を照らし出す。

河原温《NOV.21,1985「Today」(1966-2013)より》1985
©One Million Years Foundation
蜷川実花《Light of》2015
三宅砂織《Garden (Potsdam)》2019
Photo: Kenji Morita
島袋道浩《南半球のクリスマス》1994
照屋勇賢《Notice – Forest: Madison Avenue》2011
Photo: Shizune Shiigi

私たちを取り巻く様々な状況が、現代作家の眼を通じて描かれていく。

(読売新聞東京本社事業局美術展ナビ編集班 岡部匡志)

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