【開催中】隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則(東京国立近代美術館)

日本を代表する建築家・隈研吾さんの世界を、隈さん独自の5原則で紹介する「隈研吾展 新しい公共性をつくるための🐱の5原則」が6月18日、東京国立近代美術館で始まった。

開幕前日の17日には記者内見会が行われ、隈研吾さんやゲストキュレーターで現在は滋賀県立美術館ディレクターを務める保坂健二朗さんも来場した。

第1会場では、「孔(あな)」「粒子」「斜め」「やわらかい」「時間」の5原則ごとに、隈さんの建築作品68件を模型や映像作品で伝える。

第2会場は、入場無料ゾーンで、「復興と建築をめぐるインタビュー」と題したインタビュー映像や、今回発表された「東京計画2020(ニャンニャン) ネコちゃん建築の5656(ゴロゴロ)原則」を展示。後者は、東京・神楽坂の半野良のネコ2匹の生態を、デザイン・イノベーション・ファームTakramと協働してリサーチ。これからの建築や都市など、人間の集まる場所のあり方をネコの目線に立って問い直す試みだ。
なぜネコなのか? 本人が解説
美術展ナビが取材した内覧会(17日)のツイート。
あす18日(金)から東京国立近代美術館(竹橋)で始まる「隈研吾展 新しい公共性をつくるための🐱(ネコ)の5原則」展の内見会です。木や紙など自然な素材を使うことで知られている隈さんが選んだ「公共性が高い」建築68件を紹介します。なぜネコなのか?隈さん本人が説明してくれました→続) pic.twitter.com/U231JPt4ib
— 美術展ナビ (@art_ex_japan) June 17, 2021
公共性×ネコ。そこには理由がありました。この日、会場を訪れた隈さんは「公共性は本来感じるもの。今まではあまりにもロジカルにとらえてきた。ネコが路地にひかれるように、人間が身体的に惹かれる建築が、これから公共性の高い建築になる」→続) 写真(右)は超軽量の布を使った「浮庵」 pic.twitter.com/b5UWown4J7
— 美術展ナビ (@art_ex_japan) June 17, 2021
隈さん「どうも今までの建築は、神の目線、上から目線だった。それに対する僕自身の反発。その答えが人間の目線。神から人間への視点の転換が、自分の建築家としてのベースになってきたことが、この展覧会で改めて分かった」→続) pic.twitter.com/vpomzt6Z0C
— 美術展ナビ (@art_ex_japan) June 17, 2021
隈さん「ただ、人間だとまだ目線が高い。ネコだともっと低い目線になる。ネコなのに、よりヒューマンというのも面白い。ネコの助けも借りて、人間視点の展覧会ができた」。ちなみに展覧会名の正式名称は絵文字の「🐱」。→続) pic.twitter.com/0Sk7gv5ma0
— 美術展ナビ (@art_ex_japan) June 17, 2021
タイトルの「ネコの5原則」は、英語だと「5パーフェクトポイント」。神の目線でなく人間の目線なのに「Perfect(完璧)」とは?よく見るとPerfectでなくPurr-fectとなっています。誤植ではなく、英語圏の人には日本語でいう猫語「ゴロゴロニャー」のように聞こえるんだそうです!→続) pic.twitter.com/y5lCUfmk6q
— 美術展ナビ (@art_ex_japan) June 17, 2021
隈さん「神の視点では質感なんて関係なく、形がいいかどうかだった。これからは、コロナ後は特に、人間は生き物として生きるんだと多くの人が思うようになった。人間が生き物に戻るとき、質感が大事になる。ネコをGPSで追ってみると、つるつるすべるところは大嫌い。本当に質感を重視している」→続)
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隈さん「自分の作品をもう一度見て、なんであそこで紙を、布を使ったのか考えてみると、形でなく、質感を求めて使ったんだと分かる」。この展覧会で唯一、触って質感の違いを楽しめる作品が、6つある椅子(ザラザラスツール)です。→続) pic.twitter.com/FIu9JvUxrQ
— 美術展ナビ (@art_ex_japan) June 17, 2021
隈さん「2匹のネコが、仲の良いようでありながら、微妙にテリトリーを分けているなど、観察して初めて気付いたことがたくさんあった。こんなに役立つとは正直思っていなかった。ネコから教わったことをこれから活かしていきたい」。展覧会の概要はこちらをご覧下さい。(終)https://t.co/kEQXJd3IAT
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(読売新聞デジタルコンテンツ部 岡本公樹)
展覧会名:隈研吾展 新しい公共性をつくるための🐱の5原則
会期:2021年6月18日(金)~9月26日(日) 休館日:月曜日(ただし7月26日、8月2日、9日、30日、9月20日は開館)、8月10日(火)、9月21日(火)
会場:東京国立近代美術館1F 企画展ギャラリー(東京都千代田区、東京メトロ東西線竹橋駅 1b出口より徒歩3分)
観覧料:⼀般1,300円、大学生 800円
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