【プレビュー】近代日本の社会貢献の象徴 「三菱の至宝展」 国宝12点が集結 三菱一号館美術館で6月30日開幕

展覧会名:三菱創業150周年記念 三菱の至宝展
会期:2021年6月30日(水)~9月12日(日)
<前期:8月9日(月・振替休)まで。後期:8月11日(水)から>
会場:三菱一号館美術館(東京・丸の内、JR東京駅・丸の内南口徒歩5分、JR有楽町駅・国際フォーラム口徒歩6分、東京メトロ千代田線二重橋前駅徒歩3分、東京メトロ有楽町線有楽町駅徒歩6分、東京メトロ丸の内線東京駅徒歩6分)
開館時間:10:00~18:00(入館は開館の30分前まで)
休館日:月曜日、展示替えの8月10日(火)(ただし7月26日、8月9日、8月30日、9月6日は開館)
入館料・当日券:一般1900円、高校・大学生1000円、小・中学生無料
詳細は展覧会公式サイトへ
日本の産業界の近代化をリードした三菱の創業は、1870(明治3)年に、土佐藩の事業を引き継いだ九十九商会の設立に遡る。以来、1945(昭和20)年の財閥解体に至るまで、創業家である岩崎家の4代の社長によって三菱は発展を遂げる。彼らは社会貢献の一環として文化財の保存、継承にも強い関心を持ち、収集した古今東西のコレクションは現在、主に静嘉堂(東京・世田谷区)と東洋文庫(東京・文京区)で収蔵、研究が続けられるとともに、様々な形で公開され、現在も日本の文化に大きく貢献している。
今展では三菱の創業150周年を記念して、岩崎家4代の社会貢献の歴史をたどりつつ、国宝12点、重要文化財31点を含む貴重な作品群、約100点を紹介する。静嘉堂と東洋文庫の所蔵品が一度に見られる貴重な機会、という点でも見逃せない。
さすが三菱、さすが岩崎家
国宝ずらり
「三菱創業150周年記念 #三菱の至宝展」
の内覧会を動画にまとめました展覧会の詳しい記事はこちら👇https://t.co/Vftfps81xK pic.twitter.com/uzcJf6fDnX
— 美術展ナビ (@art_ex_japan) June 29, 2021
《曜変天目》《毛詩》をはじめとする国宝12点が出品
完品としては世界に3点のみが伝存する「曜変天目」、俵屋宗達の『源氏物語関屋澪標図屛風』、中国最古の詩集の唐時代の書写本「毛詩」など、豪華絢爛な顔ぶれを堪能する。






国宝《禅機図断簡 智常禅師図》因陀羅、楚石梵琦/題 元時代(14世紀) (公財)静嘉堂蔵 【展示期間:8月11日~9月12日】





岩崎家の歩みを振り返る
三菱を創業した岩崎家の初代・彌太郎、二代・彌之助、三代・久彌、四代・小彌太は、海運をはじめとする日本の産業の近代化を推進した。同時に学問にも深い関心をもち、国際感覚に優れた彼らの文化活動の保護・育成や、文化財収集は社会貢献としての性格を強く帯びるものだった。4章に分けて彼らの事績を回顧し、コレクション形成の過程を振り返っていく。


雅邦の代表作。岩崎彌之助の援助により描かれた第4回内国勧業博覧会出品作のひとつ。1955(昭和30)年、明治期の日本画革新の記念碑的作例として、近代絵画で初めて重要文化財に指定された。
静嘉堂、東洋文庫の歴史的貢献
彌之助が創設し、小彌太が拡充した静嘉堂は20万冊の古典籍と6500点の日本・東洋の美術品を所蔵。アジア最大級の東洋学研究図書館である東洋文庫は久彌が創設し、漢籍・和書・洋書など約100万冊の蔵書を誇り、マルコ・ポーロの「東方見聞録」などの重要資料も含まれる。また三菱経済研究所では三菱の歴史に関する史料の収集・保存・公開などを行っている。



これらの施設で日本・東洋美術史を形成したコレクションと、その歴史的な意義を改めて回顧する。




近代日本の文化財保護の歩みを体感する、豪華で意義のある催し。ぜひ足を運びたい。
(読売新聞東京本社事業局美術展ナビ編集班 岡部匡志)