【プレビュー】力強さと優しさが同居する 「木彫り熊の申し子 藤戸竹喜 アイヌであればこそ」 東京ステーションギャラリー(東京駅丸の内北口) 7月17日開幕

《白熊の親子》(部分)、1999年、個人蔵

アイヌ民族の木彫りの技を受け継ぎ、大胆さと繊細さ、力強さと優しさという相反する要素を熊や人間の姿に表した北海道の木彫家・藤戸竹喜(ふじとたけき)の全貌を紹介する展覧会。

 

「木彫り熊の申し子 藤戸竹喜 アイヌであればこそ」

東京ステーションギャラリー(東京駅丸の内北口)

会  期   7月17()~9月26()

開館時間   午前10時~午後6時(入館は午後530分まで)、金曜日は午後8時まで

休館日    719日、810日、同16日、同23日、96日、同13

入館料    一般1200円ほか 中学生以下無料

詳しくは同ギャラリー

 

藤戸(19342018)は北海道美幌町で生まれ、旭川市で育った。木彫り熊の名手として知られた父の元で12歳頃から熊彫りを習い、やがて阿寒湖畔に移り住み才能を開花させていく。一気呵成に彫られる熊や動物の姿は生きているかのように躍動し、たくましい生命力を漲らせている。その一方で細密な毛彫りは、硬い木に彫られたものであることを忘れさせるような柔らかさを生み出している。今回は藤戸の初期から最晩年までの代表作80点余りを展示。藤戸の全貌を紹介する東京では初めての展覧会となる。

《怒り熊》1964年、(一財)前田一歩園財団蔵

 

《全身を耳にして》(部分)、2002年、鶴雅リゾート㈱蔵

 

藤戸は制作にあたっては一切デッサンせず、丸太に簡単な目印を付けるだけで、後は一気に形を彫り出していく。繰り返し繰り返し熊を彫ることで、熊の形態や取り巻く空間を把握、この能力を身に着けて行った。

《語り合う熊》2018年、個人蔵
《鹿を襲う熊》1977年、個人蔵

 

34歳の時に依頼されて観音立像を制作したことが大きな転機となる。熊以外彫ったことの無かった藤戸は、京都と奈良を訪れて一週間仏像を見続ける。以後、人物や狼や鹿、ラッコなど様々な生き物を彫るようになる。特にアイヌ民族の先人たちの姿を等身大で彫った作品群は、精緻な写実の中に威厳に満ちった存在感を表して見る者に深い感動を与える。

《狼と少年の物語》2016年、個人蔵
左から《日川善次郎像》1991年、《杉村フサ像》1993年、《川上コヌサ像》1993年、3点とも個人蔵

 

(読売新聞事業局美術展ナビ編集班・秋山公哉)

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