「リアルのアートに触れる楽しさ、体感してほしい」「見たあと、違う自分と出会えるはず」 「バンクシーって誰?展」のアンバサダー、中村倫也さんに聞く

バンクシーについて、「メッセージ性が豊かで、かつセンスがある」と語る中村さん(5月27日、日本テレビで行われたアンバサダー就任発表で)

8月21日(土)に寺田倉庫G1ビル(東京・天王洲)で開幕する「バンクシーって誰?展」で、アンバサダーを務めるのは俳優の中村倫也さんです。卓越した演技力で、作品ごとに全く違う顔を見せる中村さんにとってアートとは?就任発表イベントが開催された5月27日(木)に、中村さんが「美術展ナビ」の単独取材に応じてくれました。(聞き手、美術展ナビ編集班・岡部匡志)

印象的だったダリ、モネ

Q 中村さんはどういうアーティストが好きですか。

A 海外に行った際、ニューヨークではMoMA(ニューヨーク近代美術館)、パリではルーブル美術館などに足を運んだことがあります。その中ではパリのモンマルトルのダリ美術館で見たダリと、マルモッタン・モネ美術館で見たモネが印象深かったです。ダリは楽しくて、モネはずっと見ていたいな、と思いました。貴重な時間でした。

スプレーを壁に吹き付けるパフォーマンスを見せ、バンクシーへのリスペクトを表現する中村さん

Q ダリが刺さりましたか。

A 絵や立体的な構造物で、いろんなことをして遊んでいますよね。クリエイティビティってある種、無限なんだと教えてくれました。それを実現させるスキルや、能力があるから可能なのでしょうけど、楽しかったです。

Q モネはいかがでした。

A ぼくは作品を好き勝手に解釈するんです。「この作品はこういうものです」というキャプションが付いていたとしても、知ったこっちゃねえ、というタイプ。それでいいや、と思って見ています。モネはチョイスしてああいうものを残しているというところに、穏やかさがある人なんだろうなあ、と勝手に解釈しています。実のところは会ったこともないし、分からないですよ。でもなぜか僕はそう思いました。それが居心地よかったんです。「睡蓮」で囲まれているあの部屋があって、ほかに何十点もありますけど、ここにいるだけでいいなあ、と。居心地いいなあ、と思いました。

Q アートがお好きなんですね。

A 絵を離れますけど、すげえ、と思ったのはルーブルにあったハンムラビ法典です。教科書で習ったものが目の前にある!ってすごいですよね。あと古い時代のものを振り返る郷土史なども好きです。江戸東京博物館とか楽しいですね。

アートや郷土史など幅広いジャンルに関心を寄せる中村さん。「仕事への影響?ないかなあ」と笑わせた

自分で感じる、が大事

Q      バンクシー展でもリアルなものを見てほしい、ということですか。

A 今、バンクシーの絵を見ようというなら、指先ひとつで何枚でも見られる時代じゃないですか。自分もウェブで情報を仕入れるんですけど、でも「このラーメン屋おいしいかなあ」といって、星の数を見ても自分にとって好きか嫌いかは分からないですね。食べてみる必要がある。それは映画でも、演劇でも、こういうアートでもきっと同じです。何にしても自分で感じるということが大事だと思うんです。今回の展覧会は、バンクシーのアートの手法とか、現場のリアルだとか、そのまま伝えようという展示なので。そうしたものをより強く感じられるでしょう。それを感じたうえで、自分で勝手に楽しむ権利と時間を買うのがチケット代。そういう権利がいっぱいあったほうがいいですよね。

Q 今、それは貴重な権利ですよね。

A 次にいつできるかなかなか分からないですし。だから、興味あったら来ていただきたいです。

「アートは自分で感じることが大事」と語る中村さん

Q 音声ガイドはどんなアプローチを考えていますか。

A まだ何を話すかは決まってはいないのですけど、第一に主役はアートなので、見ている方の邪魔にならないようにしたいですね。自分が話すことは補足情報としてお届けする。そういう立ち位置になると思います。

Q ご自身の見方を込めてみたいと思いますか?

A 込めないです。むしろなしにしたい。それは僕だけの感覚なので、無駄な情報ですから。「情報をここに置いておきますね、拾うも拾わないも、受け取るも受け取らないもご自由に」という内容にしたいです。

音声ガイドも担当。「主役はあくまでアートですから」と黒子に徹する構え

今までにない展示

Q 早くも「夏が楽しみ」という声が届いています。ファンにメッセージを。

A 美術館へ行くとき、それは異世界に入ることだと思うんですね。日常生活から異空間に行っている感覚になり、そこで没入できます。そういう時間はなかなか貴重なので、ほかで味わえない体験になるのでは、と思います。バンクシーの今回の展覧会は、いままで見てきたものどれとも違う展示になると思うので、彼の世界観に入れるのではないでしょか。きっと来る前と、来た後で、違う自分に会える気がします。時間の空いている時の気分転換程度でもいいですし、じっくり見たいでもいいですけど、興味あったらぜひ来ていただきたいと思います。(おわり)

「バンクシーって誰?展」の詳しい紹介はこちらの記事をご覧ください。公式サイトはこちら

中村倫也(なかむら・ともや) 1986年12月24日、東京都生まれ。2005年、俳優デビュー。2014年「ヒストリーボーイズ」で舞台初主演を務め、第22回読売演劇大賞男優賞を受賞。ドラマ、映画、舞台、CMなど、幅広いフィールドで活躍し、作品ごとに全く異なる顔を魅せる、その演技力や表現力で注目されている。初のエッセイ集「THEやんごとなき雑談」が発売中。

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