【追悼】在りし日のエリック・カールさん、心温まるファンとのふれあい 2017年4月の世田谷美術館

読売新聞へプレゼントされた「はらぺこあおむし」の原画

世界中のこどもに愛された「はらぺこあおむし」をはじめ、大胆な色彩と夢あふれるストーリーに満ちた絵本を作り続けたエリック・カールさんが5月23日、亡くなった。91歳だった。

エリックさんは2017年4月に東京・世田谷美術館で開催された「エリック・カール展」に合わせて来日していた。当時87歳。エリックさんは大の親日家で、それまでに何度も日本を訪れていた。

開幕前日の4月21日、開会式に姿を見せたエリックさんは「すばらしい展覧会になりました。私の作品をきれいに展示してもらい、美術館の方にお礼申し上げます」と終始、笑顔で挨拶した。

翌22日の展覧会初日にはサイン会も開催。早朝から多くのファンが美術館に詰めかけ、100人分用意した整理券はあっという間になくなった。参加者はそれぞれ自分が愛読していた本を持ち寄り、メッセージを書いた手紙を渡すなどした。作品の感想をエリックさんに話すうちに、感極まって泣き出す人もいた。エリックさんはひとりひとりに「ありがとう」「自分もこの本が好きなんだ」などと優しく話しかけた。

当初は体力的なこともあり、この2日間だけ来場する予定だった。ところが本人が展覧会を大変に気に入り、一般の来場者に紛れて後日、「お忍び」でもう一度で展示を楽しんだ。

この展覧会を担当した読売新聞事業局の担当者は「絵本の魅力そのものの人柄だった。ユーモアにあふれ、少年のようなキラキラした目で誰にでも接していたのが印象的だった」と当時を振り返った。

このときにエリックさんが読売新聞へプレゼントしてくれた「はらぺこあおむし」の原画

(読売新聞東京本社事業局美術展ナビ編集班 岡部匡志)

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