【レビュー】人を描く、へのこだわり 「STORIES 永遠の人物画展」 ホキ美術館(千葉)

小尾修《止まり木》2021年

展覧会名:STORIES 永遠の人物画展

会期:2021年5月21日(金)~11月7日(日)

会場:ホキ美術館(千葉市緑区、JR外房線「土気(とけ)」駅下車、あすみが丘ブランニューモール行きバスで5分「あすみが丘東4丁目」下車すぐ)

開館時間:10:00~17:30(入館は17:00まで)

休館日:火曜日(火曜日が祝日の場合は翌日。8月17日は開館、25日は休館)

入館料:一般1830円、高・大生・65歳以上1320円、中学生910円

写実絵画で知られる「ホキ美術館」で、人物画に焦点を当てた展覧会。もともと所蔵が多い人物画から厳選した22作家の約70点で、作家の個性と究極の技術を堪能できる。

石黒賢一郎《INJECTION DEVICEの使用》2020年

作者が創作した2047年のウイルス戦争のストーリーに基づき作品制作。インジェクションデバイス(噴射装置)でワクチンを注入しながら戦う女性のイメージという。同時代性を感じざるを得ない。

野田弘志《「崇高なるもの」OP.6》2016
野田弘志《聖なるものTHE-Ⅰ》2009年

描かれた人物の存在の重み、崇高さを描き切ろうとするのが作家の写実という。

塩谷亮《相韻》2018年

フィレンツェ留学やスペインでの展覧会を経て、近年はヨーロッパで生まれた油絵の具と古典技法を使って日本人である自分が描くことの意味を見つめた作品が多いという。

諏訪敦《玉眼(大野慶人立像)》2018年

舞踏家・大野慶人のたくましい肉体と画面からあふれる気迫に圧倒される。

河野桂一郎《Annabell》2018年

同美術館が2018年に開催した「第1回プラチナ大賞」で大賞を受賞した作品。愛らしい少女の面持ちにホッとする。

生島浩《5:55》2007-2010年

4年にわたりウィーン美術史美術館でフェルメールの「画家のアトリエ」を模写した経歴の持ち主。部屋に佇む女性の姿に通じるものを感じる。

三重野慶《信じてる》2016年

日常をそのまま切り取ってきたような、等身大の女性像が新鮮。

島村信之《日差し》2009年

光や肌の繊細の表現に驚く。

森本草介《未来》2011年

ホキ美術館の代名詞ともいうべき作家の代表作。

五味文彦《帽子の女》2019年

もともと「もの派」の作家で、異彩を放つ作風。

小尾修《止まり木》2021年

展覧会場の冒頭に置かれた新作。緊張感のある構図、足先や指先の力感に目を奪われる。ウェブで発信すると外国のファンのアクセスが目立つという。

人の顔をまじまじと見る機会がめっきり減ったこの1年余。やはり人は人に一番関心があるのだ、と実感する力作が揃った。素顔、そして生身の体が放つ迫力にワクワクする展覧会だ。

(読売新聞東京本社事業局美術展ナビ編集班 岡部匡志)

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