【プレビュー】フランス近代風景画の展開をたどる 「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」 SOMPO美術館で6月25日から

展覧会名:ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ
会期:2021年6月25日(金)~9月12日(日)
会場:SOMPO美術館(東京・新宿、JR新宿駅西口から徒歩5分、東京メトロ新宿駅から徒歩5分)
休館日:月曜日(ただし8月9日は開館、翌10日も開館)
開館時間:午前10時から午後6時(最終入館は午後5時30分まで)
フランス・シャンパーニュ地方にあり、豊かな歴史を誇るランス市。街の中央部に建つランス美術館は、19世紀の風景画コレクションで知られ、とりわけカミーユ・コロー(1796-1875)の作品が充実している。同館の選りすぐりの名品を通じて、コローやバルビゾン派に始まり、印象派でひとつの頂点に達するフランス近代風景画の展開をたどる。時代を追って主な作品を紹介する。
<コローと19世紀風景画の先駆者たち>
フランスで「風景」が絵画の主題として認められた時期の諸作品を紹介する。


<バルビゾン派>
1820年代から30年代にかけて、パリ郊外のフォンテーヌブローの森に多くの画家が集い、自然を描いた。彼らが滞在した村の名にちなみ、後世に名を残す「バルビゾン派」と呼ばれるようになる。



<画家=版画家の誕生>
絵画の複製に欠かせぬ版画。19世紀に入ると、画家が自ら版を作成するようになる。画家自身による複製版画やオリジナル版画が新聞や雑誌を介して広まり、風景画の普及と発展に貢献した。

<ウジェーヌ・ブーダン>
ノルマンディー沿岸を中心に、船や海景を多く描き、刻々と変化する光や空の表情をカンヴァスにととめようとする。彼の存在はバルビゾン派と印象派の橋渡しとなっていく。

<印象主義の展開>
モネ、ルノワール、ピサロらが風景を生き生きと描く。パリの都市景観や、郊外のフォンテーヌブローの森、ノルマンディー沿岸の風景などが画題になっていく。のちに「印象派」とよばれ、近代絵画の転換点を築くことになる。



鉄道網の発達、絵具の進化、新興ブルジョワジーの台頭などの社会的要因も、風景画の隆盛に大きくかかわった。いずれも人気の高いおなじみのジャンル、作家たちだが、時系列に沿って紹介されることでその発展の歴史を明確に感じることができる。
(読売新聞東京本社事業局美術展ナビ編集班 岡部匡志)