【レビュー】先人の体験を継承することの大切さ 「伝える―災害の記憶展」 京都文化博物館で5月16日まで

豊原国輝 濃尾大地震後図 明治24年(1891)

伝える―災害の記憶展 あいおいニッセイ同和損保所蔵災害資料

会期:2021年3月20日(土)~5月16日(日)月曜休館(祝日の場合開館、翌日休館) 10:00~19:30(入室は19:00まで)

会場:京都文化博物館(京都市中京区三条高倉、地下鉄烏丸御池駅徒歩約3分、阪急烏丸駅徒歩約7分、京阪三条駅徒歩約15分)

入場料:一般500円、大学生400円、高校生以下無料ほか

東日本大震災から10年、世界全体を覆ったコロナ禍。改めて厄災とどう向き合うかが私たちにとって大きな課題になった。そうした中、本展で公開されるあいおいニッセイ同和損保所蔵災害資料(旧・同和火災コレクション)は、大正後期から戦前にかけて、同和火災海上保険の廣瀬鉞太郎氏が収集した1400点あまりの資料群。18世紀から20世紀初頭に全国各地で発生したさまざまな災害(地震、火災、台風、落雷、津波、噴火、伝染病など)を網羅する。当時の被災状況を生々しく絵入りで伝えたもの、行政文書、被災範囲を示す古地図なども多く含まれ、災害の恐ろしさを今に伝える。復興の様子を記した資料、さらには災害を擬人化する動きも見られることが資料群の大きな特徴で、厄災を乗り越えて後世に被害を伝えようとする姿勢は、現代のわれわれにも示唆的だ。展示の構成と主な作品を紹介する。

第1章 京都・大坂の災害史

相次ぐ大火や地震、鳥羽伏見の戦いなど、近世の京都・大坂は数多くの災害に巻き込まれた。資料で振り返る。

新板京繪図 天明8年(1788)

第2章 江戸の災厄と絵画

明暦の大火、安政の大地震、台風や落雷など、江戸の人々は災害をどう表現し、受け入れようとしたのか。

歌川国芳 「焼死大法会図」 安政元年(1855)

第3章 諸国の災害と復興

全国各地で起きた災害と、復興への歩みを絵画や資料で追う。

歌川国輝「かわりけん」 弘化4年(1847)

第4章 近代とメディア 

絵画にも、被災を伝えるメディアとしてのリアリティが求められる時代に。

豊原国輝 濃尾大地震後図 明治24年(1891)
小林清親 消火活動(Ⅰ)「火災の図」シリーズの内

第5章 疫病とわたしたち

今、関心を集めている疫病に対して、先人はどう反応したのか。

疱瘡治療法

災害との対峙は間違いなく今後も続く。古の人々が残してくれた記録から学ぶものは大きい。私たちも後世に何を語り継いでいくべきなのか、を考える機会にもなりそうだ。詳しくは同館ホームページへ。

(読売新聞東京本社事業局美術展ナビ編集班 岡部匡志)

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