【プレビュー】妻、アイノの功績に焦点を当てる 「アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランドー建築・デザインの神話」展 世田谷美術館で3月20日から

アイノ・アアルトとアルヴァ・アアルト、1937年 Aalto Family Collection, Photo: Eino Mäkinen

「アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド―建築・デザインの神話」展 AINO AND ALVAR AARTO:Shared Visions

2021年3月20日(土・祝)~6月20日(日)、月曜休館、5月3日(月・祝)は開館、5月6日(木)は休館

世田谷美術館(東京都世田谷区、東急・用賀駅より徒歩17分、小田急・成城学園前駅からバス)

観覧料:一般1200円、65歳以上1000円、大高生800円、中小生500円、日時指定予約制

フィンランドを代表する建築家、アルヴァ・アアルト(1898-1976)とその妻でやはり建築家のアイノ・アアルト(1894-1949)は、結婚してからアイノが54歳の若さで急逝するまでの25年間、仕事の面も含めて強いパートナーシップで結ばれていたことで知られる。今展では二人の共同作業について、とりわけこれまであまり注目されてこなかったアイノの仕事に着目し、貴重な資料などを展示する。女性の権利について考える契機にもなるだろう。また人気を集めたNHKEテレのドラマ「ハルカの光」に登場した「ゴールデンベル」などの照明器具も展示される。

アイノ・アアルトとアルヴァ・アアルト ニューヨーク万国博覧会フィンランド館にて、1939年 Alvar Aalto Foundation

二人はともにヘルシンキ工科大学の卒業生。1924年、まだ無名時代のアルヴァの事務所にアイノが入ったことがきっかけとなり、二人は半年後に結婚した。以後、アイノがパートナーになったことで、アルヴァには「暮らしを大切にする」という視点が生まれた。当時の合理主義的なモダニズム建築の流れのなかで、ヒューマニズムや自然主義を特徴とするアアルトの建築は独自の地位を築き、世界的に知られる建築家となる礎を築いたといえる。

アイノ・アアルト、ボルゲブリック・シリーズ、1932年デザイン Alvar Aalto Foundation

二人の役割については建築をアルヴァ、インテリアや家具デザインはアイノが担当したと言われているが、実際にはそれらを明確に区別するのは難しく、互いに影響しあい、補完しながら作品を作り上げたとみられる。女性の社会進出が進んでいなかった時代に、アイノを対等のパートナーとして向き合い、尊重した態度を取ったアルヴァの姿勢は、アイノに勇気を与えたことだろう。

アルヴァ・アアルト、スツール60、1933年デザイン Alvar Aalto Foundation
アルヴァ・アアルト、41 アームチェア パイミオ、1932年デザイン Photo: Tiina Ekosaari  Alvar Aalto Foundation

今回はアイノの仕事をクローズアップすることを通じて、アアルトの建築とデザインの本質と魅力を見つめ直すこともねらい。東京のギャラリーエークワッド(201912月~)、神戸の竹中大工道具館(2020年6月~)で開催された先行企画に新たな内容を加えた。長年遺族のもとで保管されてきた初公開資料なども含め、図面・スケッチ、家具、プロダクトデザイン、建築模型、写真など約200点を展示する。

アイノ・アアルト、ヴィラ・フローラ水彩スケッチ、1942年 Aalto Family Collection
病室の消音設計された洗面器の解説図/パイミオのサナトリウム、1933年 Alvar Aalto Foundation

アイノは建築家、デザイナーとしてアルヴァと対等な関係でアアルト事務所をけん引し、現在も続くアルテック社の初代アート・ディレクターも務めた。家庭と普段の生活を愛する二人の子供の母親でもあった。その生活に根差した視点が、アアルト建築の基盤になったと考えられる。

アアルトハウス リビングルーム Alvar Aalto Foundation
マイレア邸 リビングルーム Alvar Aalto Foundation
マイレア邸外観 Alvar Aalto Foundation

二人のアアルトによる優れた建築やデザインを味わうとともに、現代においても依然として大きな社会問題であり続けている女性の権利や、性差別についても考えるきっかけになるだろう。同展について詳しくは世田谷美術館のホームページへ。

(読売新聞東京本社事業局美術展ナビ編集班 岡部匡志)

 

 

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