【プレビュー】 現展示ギャラリー最後の展覧会 「旅立ちの美術」展 静嘉堂文庫美術館(東京・世田谷)で4月10日から

国宝 《曜変天目(ようへんてんもく)》  南宋時代(12~13世紀)

静嘉堂文庫美術館の展示ギャラリーが2022年、東京・千代田区丸の内の明治生命館内に移る。移転を前に410日から、現展示ギャラリーでの最後の展覧会「旅立ちの美術」展が開かれる。旅立ちに伴う「出会い」「別れ」をテーマに、理想郷への旅、名品の旅路、静嘉堂の歩みを紹介する。前期は《曜変天目》や《禅機図断簡 智常禅師図(ぜんきずだんかん ちじょうぜんじず)》など同美術館所蔵の7点の国宝すべて、後期は国宝2点と修理後の重要文化財《聖徳太子絵伝》を初めて展示する。

「旅立ちの美術」展

静嘉堂文庫美術館(東京・世田谷区岡本)

会期 410()66()

前期 410()―59()

後期 511()―66()

前後期で展示替えあり

開館時間 午前10時~午後430分(入館は午後4時まで)

休館日 月曜日(53日=月・祝日=は開館)56()

入館料 一般1000円ほか   中学生以下無料

障がい者手帳提示の方および同伴者1700

二子玉川駅からバス810分、「静嘉堂文庫」下車徒歩約5

二子玉川駅から徒歩2025

 

詳しくは同美術館ホームページ

 

静嘉堂は三菱の創業者である岩崎彌太郎の弟、彌之助(三菱第2代社長)とその息子の小彌太(同第4代社長)によって設立された。国宝7点、需要文化財84点を含む20万冊の古典籍(漢籍12万冊、和書8万冊)6500点の東洋古美術品を所蔵する。今回の展覧会前期には7点の国宝がすべて展示される。◆《曜変天目》(「稲葉天目」)建窯 南宋時代(1213世紀) ◆俵屋宗達筆《源氏物語関屋澪標(みおつくし)図屏風》江戸時代・寛永8(1631)年 ◆伝馬遠筆《風雨山水図》南宋時代(13世紀) ◆倭漢朗詠抄 太田切 平安時代(11世紀) ◆趙孟頫(ちょうもうふ)筆《与中峰明本尺牘(ちゅうほうみょうほんにあたうるのせきとく) 》元時代(14世紀) ◆手掻包永(てないかねなが)《太刀 銘 包永》鎌倉時代(13世紀) ◆因陀羅(いんだら)筆 楚石梵琦(そせきぼんき)題《禅機図断簡 智常禅師図》元時代(14世紀)

国宝 因陀羅・楚石梵琦題 《禅機図断簡 智常禅師図》  元時代(14世紀)、前期展示(4月10日~5月9日)

第1章 旅立ち - 出会いと別れの物語

旅立ちは別れとともに新たな出会いを予感させる。古来、東洋では別れの時に詩歌や書画を贈りはなむけとした。芸術によって人はイメージの世界を旅し、多くの文学・美術作品を通して異界の見ぬ世の友のもとへ旅してきた。

河鍋暁斎 《地獄極楽めぐり図》のうち  明治2~5年(1869~72)、場面替えあり

暁斎渾身の全40図に及ぶ画帖。パトロンの愛娘・田鶴(たづ)の冥福を祈って描かれた。死後、諸仏に導かれて旅立ち、地獄見物などをしながら、ついには列車で極楽に往生するというストーリーが描かれる。

第2章 理想郷へ - 神仙世界と桃源郷

旅立った人はどこへ行くのか。不老不死の仙人になることを夢見た古代の中国人は、死後に魂が旅立つ神仙の世界を墓室の壁画や副葬品の中に造形化した。また、理想郷の入口は日常を過ごす市井の中にも隠れていることが物語に記されている。

川端玉章 《桃李園・独楽園図屏風》 (左隻:「独楽園図」) 明治28年(1895)

北宋時代の政治家・司馬光の「独楽園記」より、都会の喧騒を離れた庭園でのどかな生活を楽しむ司馬光が描かれている。司馬光は旧法派の領袖として、王安石の新法派と激しい政治対立を繰り広げた。

第3章 名品の旅路

今日文化財と呼ばれる品々は人の手から手へと渡り、今に至っている。その意味では美術品の伝来の道筋も「旅立ち」と「出会い」を繰り返す「旅路」と言える。

《唐物茄子茶入 付藻茄子》(右)、《唐物茄子茶入 松本茄子》(左) 南宋~元時代(13~14世紀)、前期展示(4月10日~5月9日)

《付藻茄子(つくもなす)》は室町幕府3代将軍・足利義満が選び出し、《松本茄子》は茶の湯名人・武野紹鷗(たけのじょうおう)が所持した中国製の名物茶入。いずれも織田信長の手に渡り、本能寺の変ののち豊臣秀吉が手に入れる。大坂夏の陣の際にバラバラに壊れたが、塗師・藤重(ふじしげ)の漆継ぎの技により復活し、徳川家康に献上された。

第4章 旅する静嘉堂 - 静嘉堂のあゆんだ130年

恩師の歴史編纂事業を助けるため書籍の蒐集を始めた彌之助は明治25(1892)年に、神田駿河台の自邸に静嘉堂文庫を創設した。その後、文庫は1911年に岩﨑家の高輪邸に、1924年に彌之助の霊廟のある世田谷区岡本に移り、現在に至る。2022年に展示ギャラリーは移転するが、美術品の保管管理・研究閲覧業務、静嘉堂文庫(書庫)、敷地・庭園の管理業務は現在の世田谷区岡本で継続される。

 

 

(読売新聞事業局美術展ナビ編集班・秋山公哉)

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