没後40年 今も色褪せぬその魅力 向田邦子展「いま、風が吹いている」

会場入り口には向田さんのポートレート

向田邦子 没後40年特別イベント「いま、風が吹いている」

2021年1月14日(木)~1月24日(日)

SPIRAL(スパイラル)(東京都港区)

テレビ脚本家、エッセイスト、小説家として今も根強い人気を誇る向田邦子さん(1929-1981)の没後40年を記念する展覧会が、東京・表参道のSPIRALで開催されている。

会場のSPIRALは向田さんが生前、最後に住んだ南青山のマンションのすぐそばにある

向田さんといえば、なんといってもドラマ。「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」「あ・うん」など一世を風靡した作品の自筆原稿や資料がみられる。

そのライフスタイルも憧れの的だった向田さん。普段身に着けていた衣服や愛用品も多数、展示されており、文筆同様そのセンスの良さに感嘆。

逸話が多く、エッセイにも登場する電話。外出が多かったので、当時まだ珍しかった留守番電話をいち早く導入、仲の良かった黒柳徹子さんが早口で9回録音したり、父親の噛みつくようなメッセージが録音されたりした。台湾旅行に出かける前に、向田さんが最後の応答メッセージを録音したのもこの電話機だ。

アートも好きだった。自宅には藤田嗣治のリトグラフや片岡球子の日本画、中川一政の書などが飾られていた。

会場の吹き抜けには高さ7・5メートルの「風の塔」が設置されている。長いロール紙に向田作品から選んだ言葉の断片を印刷。滑車でその紙がてっぺんまで持ち上げられ、時折カットされてふわりと下に落ちてくる。印象に残る一節が読めるかもしれない。小泉今日子さんによる朗読も流れている。会場構成・アートディレクションを担当したKIGIと、向田さんのコラボレーション作品。

向田さんの生涯を綴った年表。81年の事故死直前の過密スケジュールが目を引く。前年の1980年に直木賞を受賞し、まさに働き盛りだった。

コロナ禍のさなかの開催となったが、会場には熱心なファンが次々と訪れている。併せてドキュメンタリー上映「向田邦子からの贈り物」、演劇公演「寺内貫太郎33回忌」、音楽会「風のコンサート」のイベントも予定されていたが、すべて配信のみとなった。

監修にあたった向田さんの末妹の向田和子さんは「大変な時代ですが、姉のことを今も思ってくれるファンのためにも、スタッフの方々と今できるやり方を考え、やり抜こうと思いました」と話していた。

詳しくは公式ホームページへ。

(読売新聞東京本社事業局美術展ナビ編集班 岡部匡志)

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