若冲の屏風から墨書  「文化財修理の最先端」展 京都国立博物館で開催中

墨書などが見つかった伊藤若冲筆の「石燈籠図屏風」(京都国立博物館蔵)

日本の文化財の大半は素材の特質や高温多湿な環境から、約100年に一度は定期的な修理が必要だと言われる。その修理の過程で様々なものが見つかることがある。京都国立博物館蔵の伊藤若冲作「石燈籠図屏風」から制作年を示す可能性のある墨書が見つかった。京都国立博物館が、1219日の「文化財保存修理所開所40周年記念 特別企画 文化財修理の最先端」開幕を前に発表した。

文化財保存修理所は京都国立博物館の敷地内にあり、19807月に公営の修復施設としては日本で初めて設置された。開所40周年を記念して今回、近年修復した文化財から特に注目される作品を紹介する展覧会が開かれることになった。

「石燈籠図屏風」旧襲木墨書

若冲の「石燈籠図屏風」はいくつもの石燈籠が並ぶ図柄で、天明3年~寛政6年(178394)頃、若冲60歳代末~70歳代末頃の作品と考えられている。画面下部を中心に傷みが激しく、経年劣化により屏風の構造も不安定になっていた。平成2930年度に全面解体修理をした際に、「屏風の周囲の枠の部分から「天明三年 上京黒門通中立売上ル 柴田宇兵衛作」などの墨書が見つかった。また縁裂(ふちぎれ)の下からは「生島子石画後々余遇也 『若冲居士』」という墨書とともに朱の円印も見つかった。天明3年は従来想定の年とも矛盾せず、制作年を示す可能性があるという。また、縁裂下の墨書は若冲自筆に間違いなく、「生島」は発注主の可能性がある。屏風に仕立てられた後は見えなくなる縁裂の下に画家自らが墨書、捺印することは極めて珍しく、若冲にとっても特別な作品だったと想像できる。

「石燈籠図屏風」墨書・印が見出された時の状況

特別企画は「表具の価値―文化財としての表装―」「修理がもたらした奇跡―修復で得られた発見―」「最新の修復成果―ベストな修理を目指して―」「彫刻の修理」「修理 いまむかし―過去から未来へ」の5章に分かれ、「石燈籠図屏風」など約50点が展示されている。

文化財の修復には作品そのものの修理の難しさだけでなく、歴史や宗教的な要素、さらに所蔵者の考え方等も加わり慎重な調整が必要になる。今回の特別企画では文化財修復の重要性と、そうした難しさの一端もうかがえそうだ。

 

「文化財保存修理所開所40周年記念 特別企画 文化財修理の最先端」

2020年1219()2021131()

京都国立博物館(京都市東山七条)

 

詳しくは同博物館ホームページ

 

(読売新聞事業局美術展ナビ編集班・秋山公哉)

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