《雪舟600年》展 山口県立美術館 工夫を凝らしたタブレットガイドも好評

会場に展示されている雪舟筆「騎獅文殊・黄初平・張果老図」(個人蔵)

《雪舟600年》展

山口県立美術館(山口市)

2020年10月31日(土)~12月21日(月)

展示会場の入り口

今年生誕600年となる画僧・雪舟(1420-1506?)の「山水図巻」(重要文化財)や、その流れをくんだ毛利家の御用絵師「雲谷派」の画家たちの作品を展示する所蔵品展「<雪舟600年>展」が、山口県立美術館(山口市)で開かれている。

雪舟筆「山水図巻」(重要文化財・山口県立美術館蔵)

同館は、重要文化財に指定されている雪舟作品3点を所蔵、雪舟研究と作品紹介の拠点として活動してきた。本展は毛利博物館(山口県防府市)で同じく21日まで開催中の「特別展 国宝」と連携して開催し、雪舟や雲谷派の作品、雪舟の「四季山水図(山水長巻)」(国宝)の原寸大の模写など約10点を展示している。

昭和初期の精巧な模写も展示

また今回初めて、タブレット端末を使った無料の展覧会ガイドを作成。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため開催できないギャラリートークの代わりに、会場で学芸員の解説を映像と音声で楽しめると好評だ。

学芸員の肉声で丁寧な解説が楽しめる

展覧会ガイドの装置は、腰にワイヤを巻き、その先にタブレットを差し込んで固定、ヘッドホンを装着して音声を聴くもの。床に表示されているQRコードにタブレットをかざして読み取ると、作品解説の映像が再生できる。「雪舟600年展」の解説は5種類で、学芸員が分担して収録し、各3分程度にまとめた。

腰に固定した端末を床面のQRコードにかざすと映像の展示解説を見ることができる
雲谷等益「瀟湘八景図屏風」は会場の一角にしつらえた畳の間に展示。普段はガラスケース越しにしか見ることができない作品を露出展示している

作品の入れ替えがある場合に、展示されていない方の作品と比較しながら解説を聴けるのも、映像の強みだ。雲谷等益「瀟湘八景図屏風(しょうしょうはっけいずびょうぶ)」の解説では、会期の前半に展示していた、等益の父親で雲谷派の祖・等顔の「山水図屏風」の画像を並べて比較。岩や樹木の表現方法などが異なる様子が分かり、いずれも雪舟の山水長巻に学びつつ、それぞれ独自の作品を生み出した親子の画風の違いを画面で見比べながら、展示作品を見ることができる。

解説の一場面。父・等顔と子・等益の作品を画面上で比較することができる

河野通孝副館長は「コロナ禍の中でもできる限り、これまでのように安心して展示を楽しんでもらう方法を模索してきた。今回の取り組みもその一つ」と話す。同館では、入場に定員制の時間指定予約を採用し、三密を防ぐために作品を少なめに配置、キャプションも大きくするなど展示も工夫している。

「パノラマ山水長巻-拡大高精細映像で見る雪舟筆四季山水図(毛利博物館蔵)」(上映時間約14分)

別の展示室では、毛利博物館で展示中の「四季山水図(山水長巻)」(国宝)のデジタル映像を3面の壁に高さ3メートルまで拡大投影して上映。淡い色彩が施された作品の細部まで見ることができる。

<開催概要>

展覧会名:館蔵品による《特別企画2》《雪舟600年》展

会期:2020年10月31日(土)ー12月21日(月)

休館日:月曜日(ただし12月7日、21日は開館)

観覧料:一般800円、シニア・学生700円

詳しくは同館ホームページへ。

(読売新聞東京本社事業局美術展ナビ編集班/読売新聞西部本社事業部)

 

 

 

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