「国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話」江戸東京博物館(東京・両国)で開催中

《ネフェルティティ王妃あるいは王女の頭部》、前1351~前1334年頃、などが並ぶ第2章

ヨーロッパ最大級の規模と質を誇るベルリン博物館群。なかでも世界有数のコレクションで知られる同館エジプト・コレクションから、名品ばかり約130点が出展された「国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話」が江戸東京博物館(東京・両国)で開かれている。

エジプト展と言うと黄金の世界を思い浮かべるが、今回は古代エジプト神話に焦点を当てている。「天地創造の神々の世界」「ファラオと宇宙の秩序」「死後の審判」の3章からなり、アニメーションも使って分かりやすく解説している。

比較的小さな展示品も多いが、説明の字は通常より大きい。来場者が集中して密になるのを防ぐとともに、老眼の目にも優しい。また、アニメーションを除いて撮影が可能だ。130点中、100点以上が日本初公開。

神々の世界

古代エジプトでは、この世界の始まりは暗闇の中にある混沌とした「原初の海」ヌンだった。このヌンから神々の意思により秩序ある世界が創造される。第1章「天地創造の神々の世界」では、神々の姿や神々が作った森羅万象を見ていく。

《セクメト女神座像》、前1388~前1351頃、ⒸStaatliche Museen zu Berlin ,Ägyptisches Museum und Papyrussammlung /J.Liepe

頭がライオンのセクメト女神は、聖蛇ウラエウスのついた太陽円盤を戴き、玉座に座っている。玉座の正面には2列の碑文があり、この彫像を作らせたアメンヘテプ3世の名が刻まれている。

ファラオ

第2章は「ファラオと宇宙の秩序」。宇宙を支配する秩序・摂理(マアト)は絶対であり、人間が遵守すべき最も重要な規範・道徳としても考えられていた。人間社会のリーダーであるファラオはマアトを遵守、遂行する最高責任者であった。異民族の侵入やファラオに対する謀反などマアトを揺るがす大事件には、ファラオ自身が強いリーダーシップを発揮することが求められた。

この章ではレリーフが多い。エジプトのレリーフは彫りが浅いとされるが、判別しやすいよう照明が工夫されている。

《ハトシェプスト女王のスフィンクス像(胸像)》、前1479~前1458年頃=左手前=などが並ぶ

 

《太陽の船に乗るスカラベを描いたペネヘシのペクトラル(胸飾り)》、前1186~前1070年頃、ⒸStaatliche Museen zu Berlin ,Ägyptisches Museum und Papyrussammlung/S.Steiß

死後の世界

死者は墓地の守護神でミイラ作りの神でもある山犬頭をしたアヌビスにより、死者の審判が行われる広間に導かれる。第3章「死後の審判」では死後の世界に関するものが展示される。古代エジプト人は考えたり思ったりする器官は心臓だと考えていたという。

《タレメチュエンバステトの「死者の書」》、前332~前246年頃、ⒸStaatliche Museen zu Berlin ,Ägyptisches Museum und Papyrussammlung/A.Paasch

プトレマイオス朝初期の「死者の書」を記したパピルス。全長4メートルを超える。「死者の書」とは死後に必要な知識を呪文と挿絵により示したもので、死者が来世でも生命が続くように神々に懇願するのに役立つとされる。右側の挿絵には死者の心臓を計量する場面が描かれている。計量で天秤とマアトが象徴する羽根が釣り合えば、死者は冥界の支配者オリシス神のもとに連れていかれ、再生と復活が保証される。

《タイレトカプという名の女性の人型棺・内棺(手前)と外棺(右奥)》、前746~前525年頃

 

同展は2021年4月17日~627日に京都市京セラ美術館、710日~95日に静岡県立美術館、秋に東京富士美術館(八王子市)を巡回予定。

 

「国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話」

2020年1121()202144()

江戸東京博物館(東京・両国)

詳細は同展公式ホームページ

 

 

(読売新聞事業局美術展ナビ編集班・秋山公哉)

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