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瞬間のリアリズム 企画展「上田薫」 埼玉県立近代美術館で開催中

《なま玉子》シリーズの前で足を止める来館者

一瞬を永遠に貼り付けたのか、永遠を一瞬に閉じ込めたのか。割れた殻から落下する瞬間の生卵、スプーンから溶けて流れ出そうとするアイスクリーム。一瞬の動きを絵の中に閉じ込める「クソリアリズム」(上田本人の言葉)の画家・上田薫展が埼玉県立近代美術館(さいたま市)で開催されている。

《スプーンのジャム A》、1974年、油彩・アクリル、キャンバス、 東京都現代美術館蔵

1928年生まれの上田は、大学卒業後に主に抽象画を描いていたが、1956年に映画ポスターの国際コンクールで大賞を取ったことをきっかけにグラフィック・デザインの世界に入る。しばらくして絵画に戻るが試行錯誤の時期が続く。しかし1970年、「内面を見つめる表現に見切りをつけ、見えたものをそのまま描こう」(上田)と、バックも無い一個の貝殻を描いたのを最初に独自のリアリズムの世界を確立していく。

《ジェリーにスプーン C》、 1990年、 油彩、キャンバス、 埼玉県立近代美術館蔵

 

今回、まとまった形で紹介されることの少なかった上田の作品を、大学卒業後から現在まで約80点展示する。

 

《サラダ E》、 2014年、 油彩、キャンバス

 

初期の抽象画からポスター、転機となった貝殻の絵、「クソリアリズム」を確立したての頃の靴やバラ。一瞬の中に「時間」を捉えたなま玉子シリーズなど。やがて作品は「光」を描くようになり、現在の作品にいたるまでほぼ年代順に並ぶ。

最後には上田自身が語るビデオ映像も。

 

企画展「上田薫」

2020年1114日(土)~2021111日(月・祝)

埼玉県立近代美術館(さいたま市)

詳しくは埼玉県立近代美術館ホームページ

 

(読売新聞事業局美術展ナビ編集班)

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