カラヴァッジョ「キリストの埋葬」展 国立新美術館で来春開催 日本のキリシタンが教皇に送った書状も展示

《キリストの埋葬》カラヴァッジョ(本名ミケランジェロ・メリージ)1603-04年 油彩/カンヴァス 306×214㎝ バチカン美術館 FOTO Ⓒ GOVERNATORATO SCV-DIREZIONE MUSEI VATICANI

バロック美術の先駆者で、今も高い人気を誇るカラヴァッジョ(1571-1610)の代表作を紹介する「ローマ教皇からの贈り物 カラヴァッジョ《キリストの埋葬》」展が来年3月、国立新美術館(東京・六本木)で開幕する。

「キリストの埋葬」はローマで成功を収めたカラヴァッジョ円熟期の作品で、1603~04年の制作。当時、建造されて間もないサンタ・マリア・インヴァリチェッラ教会の礼拝堂のために描かれた。強い明暗のもと、死せるキリストとその取り巻きを劇的かつ写実的に描き、ルーベンスら後世の多くの画家に影響を与えた。

この作品は1797年、ローマを占領したナポレオン軍によってパリに運ばれ、一時ルーヴル美術館に展示。返還交渉の結果、1815年に返却された。元の教会ではなく、バチカンに戻され、現在に至っている。

《バチカン図書館》 Ⓒ Aposolic Vatican Library

今展は2019年に来日したローマ教皇から、日本への贈り物として実現する展覧会。大画面の映像やパネルによって作品への理解を深めるほか、同時代の版画などによって、この作品が描かれた当時の歴史的背景を説明する。

さらに同展では、この作品と同じ時期に日本各地の信徒集団がローマ教皇へ送った書状をバチカン図書館から借用し、展示する。

《大坂・伏見・都の信徒からの奉答書》1621年 墨書・ペン・手彩色・装飾料紙 350×975mm バチカン図書館
Barb.or.152(3) Ⓒ 2020 Biblioteca Apostolica Vaticana

当時の教皇が、激しい迫害を受けていた日本の信徒に励ましの書簡を届けた。これに感動した各地の信徒が、教皇に感謝と信仰を守る決意を伝える奉答書を送っていた。今回、展示されるのはバチカン図書館に所蔵されている5通の奉答書のうち3通で、400年の歴史を経て初の里帰りとなる。贅沢な紙を使い、日本語とラテン語でメッセージが記されており、禁教時代の日本の信徒の様子を伝えるとともに、日本とバチカンの交流の歴史を伝える貴重な史料である。

<開催概要>

展覧会名:カラヴァッジョ《キリストの埋葬》展

会期:2021年3月24日(水)~5月10日(月)

会場:国立新美術館 企画展示室2E(東京・六本木)

休館日:毎週火曜日=ただし5月4日(火・祝)は開館

詳しくはホームページへ。