鴨居玲の創作の軌跡を辿る 久留米市美術館(福岡)で回顧展

「没後35年 鴨居玲展 静止した刻」
久留米市美術館(福岡県久留米市)
2020年9月12日(土)―12月6日(日)

没後も高い人気を誇る洋画家、鴨居玲(1928~85)の初期作から絶筆まで、年代順に3部構成で約100点を紹介する。人間の弱さや醜さに目を背けず、確かなデッサン力で人間の内面を描き続きた鴨居。彼の歩みを目の当たりにできる作品がそろった。
第1章 模索 ~煩悶する若き画家~

金沢美術工芸専門学校在学中から二紀展に入選するなど、早くから才能を認められるも、画風が確立できなかった青年時代。単身で渡ったブラジルで具象画に可能性を見い出す。《静止した刻》で安井賞を受賞し、一気に脚光を浴びた。

第2章 画風の確立へ ~充実の日々~
1971年、スペインに渡り、「私の村」とよんだバルデペーニャスでいくつもの傑作が生みだされる。74年にはパリでの個展も成功をおさめ、拠点をスペインからフランスに移す。

第3章 終焉への道 ~ふたたびの煩悶~
1977年、6年間の海外生活に区切りを付けて帰国した鴨居は、神戸にアトリエを構える。裸婦への挑戦など、新たな画題を求めて苦心が続く。集大成ともいえる《1982年 私》を完成させた3年後、突如として自らの人生に幕を引いた。

キャリア後半の大作「1982年 私」にじっくりと向き合う来館者。美醜を超えた強烈な表現力で、今もファンの心をつかんで離さない。
入館料:一般1000円、シニア700円、大学生500円
休館日:月曜日(11月23日は開館)
詳しくは同館ホームページへ。