「5Gで文化財 国宝『聖徳太子絵伝』 ARでたどる聖徳太子の生涯」 9月29日から東京国立博物館で

東京国立博物館法隆寺宝物館(上野)で9月29日から10月25日まで、最先端技術を用いて聖徳太子の生涯を描いた障子絵を紹介する「5Gで文化財 国宝『聖徳太子絵伝』 ARでたどる聖徳太子の生涯」が開かれる。
これは同博物館、文化財活用センター、KDDIが共同で推進する、第5世代移動通信システム「5G」やAR(拡張現実)などの先端技術を活用した文化財保護・鑑賞プロジェクトの第1弾。

平安時代・延久元年(1069) 全10面のうち第3面 東京国立博物館蔵

「5Gで文化財 国宝『聖徳太子絵伝』」アニメーションより
国宝「聖徳太子絵伝」は、かつて奈良・法隆寺の東院伽藍にある絵殿の内壁にはめ込まれていた障子絵(今でいうパネル)で、現在は東京国立博物館が所蔵する。平安時代後期の1069年に絵師・秦致貞(はたのちてい)によって描かれた。聖徳太子を描いた現存する絵伝の中では最も古い。太子の幼少時から飛鳥や斑鳩を舞台とした事蹟、中国の衡山(こうざん)での事蹟など、58のエピソードが10面に描かれている。法隆寺の絵殿にあった当時は、寺の僧がこの絵を使って公家らの参拝者に太子の生涯を語ったという。しかし1000年近い年月を経て画面はいたみ、絵柄が分からなくなっている部分も多い。さらに展覧会ではガラスケース越しで細部の鑑賞もできにくい。

今回の展示では、絵殿とほぼ同じ広さの会場に、同じ順で並べた10枚の原寸大複製画パネルを、「魔法のグラス」(眼鏡)と「魔法のルーペ」(スマホ)で鑑賞する。「グラス」をかけると太子の代表的な15のエピソードが、音声による解説とアニメーションで楽しめる。アニメーションは同博物館の研究員が監修して作画されたもの。「ルーペ」をパネルにかざして、画面に表示された画像の中から鑑賞したいエピソードを選択すると、文字表示とナレーションの解説を受けることができる。

国宝「聖徳太子絵伝」(部分) 東京国立博物館蔵(合成)
狭い会場でのコロナウイルス対策と器具使用のため、鑑賞は約40分で、1回の入場者も8人に限られる。
また、自宅でスマートフォンやタブレットを使い、「魔法のグラス」で見られる15エピソードが鑑賞できる試みもある。
「5Gで文化財 国宝『聖徳太子絵伝』 ARでたどる聖徳太子の生涯」
2020年9月29日(火)~10月25日(日) 東京国立博物館 法隆寺宝物館
入場券は事前予約制
詳細は展覧会公式サイトに