「夏のお花見」で癒しを リポート 山種美術館「桜 さくら SAKURA 2020ー美術館でお花見!-」 

橋本明治 《朝陽桜》 1970(昭和45)年 紙本・彩色 山種美術館

【特別展】桜 さくら SAKURA 2020―美術館でお花見!-

2020年7月18日(土)-9月13日(日)

山種美術館(東京都渋谷区広尾)

近代現代日本画を中心とする豪華なコレクションで知られる山種美術館は、夏本番を前にして、新型コロナウイルスによる臨時休館明けの展覧会のテーマに、あえて「さくら」を選んだ。横山大観、速水御舟、奥村土牛など第一人者ぞろいの約50点が楽しめる。

1966年開館の同館では、数年ごとの桜の季節に、収蔵品からさくらを描いた作品を集めた展覧会を開催しており、日本画ファンにはおなじみ。今年も3月14日に開幕したものの、新型コロナの影響でわずか16日間しか公開できず、休館から3か月半後の7月18日に、あらためてスタートした。山崎妙子館長は「休館後はSNSでさくら展の作品を紹介するなどしたが、お客さまから『今年は見にいけなかったので残念だ』『もう一度ゆっくり鑑賞したい』という声をいただいた。やはりこれに応えたいと思った」と振り返る。

松岡映丘 《春光春衣》 1917(大正6)年 絹本・彩色 山種美術館

会場で最初に出迎えてくれる、華やかで典雅な一品。

奥田元宋 《奥入瀬(春)》1987(昭和62)年 紙本・彩色

急な渓谷を流れる水の音が聞こえてきそう。ダイナミックでリアルな表現にひきこまれる。繊細に描いたさくらとのコントラストが絶妙。

速水御舟 《夜桜》 1928(昭和3)年 絹本・彩色 山種美術館

山種美術館の「顔」ともいうべき速水御舟のコレクションから。シンプルで静かな美しさ。

菱田春草 《桜下美人図》 1894(明治27)年 絹本・彩色 山種美術館

春草が東京美術学校に在学していた20歳のときの作品。

横山大観 《山桜》 1934(昭和9)年 絹本・彩色 山種美術館

山あいで長年の風雪に耐えた年輪を感じさせる幹のしなり。

奥村土牛 《醍醐》 1972(昭和47)年 紙本・彩色 山種美術館

あえて幹を中心に据え、花を上部に寄せた構図が想像力をかきたてる。

来場したファンからは「やはりここで見る桜の絵はいいね」「日々、コロナでうんざりしていたけど、いい気分転換になった」などの声が聞かれた。

「さくら」展の開催にあたって、もうひとつ山崎館長の念頭にあったのは、2011年の東日本大震災当時の出来事だった。被災直後の春、「百花繚乱―桜・牡丹・菊・椿―」という花をテーマにした展覧会を開催したところ、「心が静まった」「気持ちが明るくなった」という感想がたくさん寄せられた。「困難な時期こそ、美術の力、美しいさくらの作品で、少しでも心和らぐひとときを過ごしてほしい。季節外れにはなるが、『あの年は大変だったけれど、さくらの絵を見られたね』という思い出になれば、という気持ち」と語る。

同館では、新型コロナの感染防止と混雑緩和のため、新たに日時指定オンライン予約システムを導入した。従来通り、美術館でチケットを買うこともできるが、混雑時には入館まで待つ場合もある。開館時間を短縮し、当面11時~16時。8月16日までは、「感謝割」としてミュージアムショップの買い物は10%オフになる。詳しくは公式ホームページへ。

(読売新聞東京本社事業局専門委員 岡部匡志)

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