「国宝」へ秒読み  群馬・綿貫観音山古墳の出土品、一挙公開 群馬県立歴史博物館

 

綿貫観音山古墳のすべて  

2020年7月18日(土)~9月6日(日) 群馬県立歴史博物館(高崎市)

 

東日本の「古墳王国」とも呼ばれる群馬県の代表的な古墳のひとつ綿貫観音山古墳(高崎市)は、6世紀後半に造られた全長97メートルの前方後円墳だ=写真下=。金銅製品などの出土品は、国内はもとより朝鮮半島や中国との交流の一端ををうかがわせる重要な資料とされ、2020年3月、国の文化審議会が国宝に指定するよう文部科学相に答申。例年通りに進めば、8月から10月の間に正式に指定される。

綿貫観音山古墳の主要な出土品と、古代の文化交流を物語る奈良県藤ノ木古墳、福岡県沖ノ島祭祀遺跡の出土品などを並べて紹介する「綿貫観音山古墳のすべて」展が、群馬県立歴史博物館で開かれている。

展示されているのは中国伝来と考えられる「銅水瓶(すいびょう)」や同じ型からつくられた鏡が朝鮮半島でも発見された「獣帯鏡」、金銅製の帯や馬具、鉄甲(てつかぶと)など綿貫観音山古墳の出土品382点と、関連する考古遺物の計634点。国宝が24点、重要文化財が470点という豪華さだ。綿貫観音山古墳の出土品が会期中に国宝に指定されれば、400点を超える国宝が並ぶことになる。

会場風景

 

綿貫観音山古墳出土の「銅水瓶」。手前の蓋についているピンセット状の金具は落下止めと考えられる。中国・南北朝時代の遺跡から同類の水瓶が発見されている

 

「倭国、珠玉の金工品世界」と名づけられたセクションでは、綿貫観音山古墳、藤ノ木古墳、沖ノ島祭祀遺跡の金銅製馬具「杏葉(ぎょうよう)」「雲珠(うず)」などが一堂に会した。さらに公開される機会があまりなかった東海地方の古墳の出土品も展示され、当時の交流の姿を浮かび上がらせる。

右から綿貫観音山古墳、沖ノ島祭祀遺跡、藤ノ木古墳の金銅製出土品が2ケースずつ展示されている

綿貫観音山古墳出土の「金銅歩揺付雲珠・辻金具」

 

古代日本というと関西の大和王権ばかりが注目されがちだが、東国にも目を向けてみたくなる展覧会だ。96日まで。また、収蔵展示室では、「三人童女」など同古墳出土の埴輪157点がまとめて展示されている。埴輪も国宝指定の対象だ。事前予約制。問い合わせ・予約は同館(027・346・5522)へ。

同時開催

常設展示 「刀 カタナ かたな」

2020年6月2日(火)~9月22日(火・祝日)

綿貫観音山古墳は7月20日現在、石室見学を中止しているが、再開されれば足を伸ばしてみたい。見学については「史跡観音山古墳へのご案内」へ。