「杉本博司 瑠璃の浄土」展が開幕 京都市京セラ美術館の新館「東山キューブ」 

 

 

杉本博司 瑠璃の浄土

5月26日(火)~104日(日) 京都市京セラ美術館 新館「東山キューブ」

 

 

「京都市京セラ美術館」という新しい通称でリニューアルオープンする京都市美術館は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため臨時休館していたが、いよいよ526日に開館する。収蔵庫があった本館隣りに現代美術を中心とする展示館として新設された「東山キューブ」では、現代美術家、杉本博司さん(1948年生まれ)の個展「瑠璃の浄土」が静寂の中で「こけら落とし」を待っている。6月14日までの予定だったが、10月4日まで開催されることになった。当面は京都府在住者を対象に公開。事前予約制となる。予約はホームページ、または電話(075-761-0239)で受け付ける。

「杉本博司 瑠璃の浄土」展の入り口

 

京都市京セラ美術館が位置する岡﨑公園には、平安時代・院政期に八角九重の塔を持つ法勝寺など6つの寺院があった。30歳代のころ古美術商として生計を立てていた杉本さんは自らも収集を行ってきたが、そのコレクションの中に法勝寺の瓦が含まれていた。この瓦の存在は、同美術館からの個展の提案を引き受ける理由のひとつとなり、さらに浄土への思いや再生への問いを導き、「瑠璃の浄土」というテーマが生まれた。

「法勝寺の瓦」 平安時代末~鎌倉時代初期

 

天井高約5メートル、約1000平米の「東山キューブ」の空間を仮設壁で自在に区切り、透明な光学硝子(ガラス)でつくられた13基の塔が一列に並ぶ「光学硝子五重塔」シリーズ、蓮華王院本堂(通称、三十三間堂)中尊(国宝・千手観音坐像)の大判写真を中心とする「仏の海」、ニュートンの著作「光学」にもとづいて制作された写真シリーズ「OPTICKS」などのコーナーが設けられた。

「光学硝子五重塔」シリーズ 小田原文化財団蔵 ―「杉本博司 瑠璃の浄土」展示風景 ©Hiroshi Sugimoto

 

「仏の海」シリーズ ―「杉本博司 瑠璃の浄土」展示風景 ©Hiroshi Sugimoto 蓮華王院本堂(通称、三十三間堂)     中尊(国宝・千手観音坐像)の作品(右から4番目)は1995年の撮影だが大判作品としては初制作、初公開となる

 

「OPTICKS」の部屋では、内覧会(3月20日)で舞踊家の田中泯さんがパフォーマンスを披露した ―「杉本博司 瑠璃の浄土」展覧会場 ©Hiroshi Sugimoto

 

同美術館の日本庭園には2014年のヴェネチア・ビエンナーレ建築展で発表した「硝子の茶室 聞鳥庵(モンドリアン)」が設けられ、現代的な洗練された空間が自然との共生を見せている。開館後、20211月末まで無料公開される。

 

「硝子の茶室 聞鳥庵(モンドリアン)」(2014年:中央奥)  ©Hiroshi Sugimoto Architects: New Material Research Laboratory / Hiroshi Sugimoto + Tomoyuki Sakakida. Originally commissioned for LE STANZE DEL VETRO, Venice / Courtesy of Pentagram Stiftung & LE STANZE DEL VETRO.

 

 

京都市京セラ美術館の日本庭園。池の中央に「聞鳥庵」が見える

 

当面は入館者は京都府在住者に限定し、感染症対策として事前予約制による入館制限と、入館者の体温チェックを実施する。前売券や招待券を持っている人も事前予約が必要。定員は入場時間で30分(10時~17時)ごとに50人。

事前予約の対象期間は5月26日(火)から6月7日(日)まで。新型コロナウイルスの状況によっては、休館日をはさんだ6月9日(火)以降も事前予約による入館制限を継続する場合がある。

リニューアルオープンにあたっては「杉本博司 瑠璃の浄土」「コレクションルーム(京都市美術館所蔵品展示)」(春期)の展覧会が開催され、それぞれに事前予約が必要となる。

予約はホームページ、または電話(075-761-0239)で受け付ける。