京都市京セラ美術館 リニューアルオープンを祝う「春」のコレクション

京都市京セラ美術館 コレクションルーム 春期
5月26日(火)~6月21日(日) 京都市京セラ美術館 本館 南回廊1階

約3年にわたる本館の改修と新館・東山キューブの新築を経て今年3月にリニューアルオープンする予定だった京都市京セラ美術館は、新型コロナウイスルの感染拡大防止のため臨時休館していたが、いよいよ5月26日に開館する。当面は京都府在住者を対象に、事前予約制となる。予約はホームページ、または電話(075-761-0239)で受け付ける。

 

リニューアルの目玉のひとつに、本館南回廊に新設された「コレクションルーム」がある。1933年(昭和8年)の開館以来、京都画壇の作品をはじめとして集められた収蔵品を紹介する常設の展示室だ。1年目となる今年度は、四季に合わせて選ばれた作品を4回シリーズで紹介する。

第一弾のテーマは「春」。穏やかな明るさと静謐さが会場に漂う。外界は既に初夏を迎えているが、花見も自粛となった今年の春を美術館で振り返り「春のうらら」を味わうのも一興では。

「京都の春」「祈りの時」「京都の洋画―明治期」など11章で構成され、明治中期から平成にかけて描かれた日本画、洋画、彫刻、版画、工芸、書、立体作計100点で、春や日本近代美術の青春期などにまつわる作品を一望する。展示情景を紹介しよう。

「春を愛でる」

須田国太郎「早春」1934年(左) 平等院の対岸にある宇治発電所付近を描いたものとされる

 

川端玉章「信濃の春」(左)など春を描いた作品が並ぶ

 

「祈りの時」

村上華岳「阿弥陀」(1916年:右から2番目)、菊池契月「赤童子」(1926年:左端) 華岳は法隆寺金堂壁画等を参考にしながら「阿弥陀」を描いたという

 

「版画・彫刻・工芸の名品」

建畠大夢「夢」(1939年)が置かれた南玄関

 

「歴史を描く」

富岡鉄斎「漁樵問答図」(1900年:右) 中国「宋」の文人の「漁樵問対」を画題に描いた作品。自然の広大さが表されている

 

「京都の洋画―明治期」

原田直次郎「伊藤快彦像」(左)、鹿子木孟郎「田中源太郎像」(右)  原田は日本近代洋画の草分けのひとりだ

 

「現実を超えて」

北脇昇「流行現象構造」(1940年:右から2番目)、小牧源太郎「民族系譜学」(1937年:同3番目)ほか、シュルレアリスムの流れをひく作品を紹介

 

「京都の版画と書」

日比野五鳳「大原女」(1978年:中)、中野越南「芳草」(1973年:左)など書の名作も。「大原女」は、高浜虚子の「しくれつつ大原女言葉かはしゆく」を取り上げた作

 

新設された「東山キューブ」の屋上は空と山の眺望が美しいテラス(「東山キューブテラス」)として開放される

当面は入館者は京都府在住者に限定し、感染症対策として事前予約制による入館制限と、入館者の体温チェックを実施する。前売券や招待券を持っている人も事前予約が必要。定員は入場時間で30分(10時~17時)ごとに50人。

事前予約の対象期間は5月26日(火)から6月7日(日)まで。新型コロナウイルスの状況によっては、休館日をはさんだ6月9日(火)以降も事前予約による入館制限を継続する場合がある。

リニューアルオープンにあたっては「コレクションルーム 春期」と「杉本博司 瑠璃の浄土」が開催され、それぞれ事前予約が必要となる。

予約はホームページ、または電話(075-761-0239)で受け付ける。