休館中の展示を動画で配信 江戸東京博物館

配信に臨む杉山さん(左)と橋本さん

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、多くの美術館や博物館が休館を余儀なくされる中、やはり臨時休館中の江戸東京博物館(東京都墨田区)は10日夜、展示を動画で配信した。

特別展「江戸ものづくり列伝―ニッポンの美は職人の技と心に宿るー」を、動画配信サービス「ニコニコ動画」で公開した。配信は午後7時にスタート。同館学芸員の杉山哲司さんと、案内役でライター・エディターの橋本麻里さん(永青文庫副館長)のコンビが、約2時間にわたり展示品を説明した。

収録スタッフと取材の記者以外、ひと気のない夜の館内。展示ケースには刀や鎧、蒔絵、漆、ミニチュアの工芸品など、江戸時代の匠たちの力作がずらりと並ぶ。「(明治期に来日した欧州の貴族が)爆買いした品々なんですよ」「それじゃあ、夫人は激おこですね」と軽妙なやり取りが続いた。動画の視聴者コメントで「もっと近くでみせて」とリクエストがあると、カメラがアップに寄せるなど、動画配信の双方向性を生かした進行で、視聴者は約2万人に達した。

特別展は2月8日に始まり、4月5日まで開催の予定だが、臨時閉館に伴い2月29日から中断している。配信を終えた杉山さんは「実物をお見せできないのは心苦しいが、こうした形でも展示の魅力を伝えることができてよかった」とほっとした表情。

今回の配信はニコニコ動画のサービス「ニコニコ美術館」で行われ、休館をしている美術館・博物館への支援の一環として、番組制作や配信の費用は運営のドワンゴが負担している。今後も6~10館程度の配信を検討しているという。

今回の取り組みを発案した橋本さんは「SNSのよい部分が発揮できた。視聴者も、ポジティブな気持ちで美術館を支えよう、と応援してくれている。こうした成功例を積み重ねていきたい」と話していた。

(当日の配信は↓でみられます)

https://live2.nicovideo.jp/watch/lv324617296