「祈りの造形 沖縄の厨子甕を中心に」 日本民藝館(東京・駒場)

沖縄には、遺体を墓室に安置したのち、親族が骨をあらう習慣があり、清められた骨を収める蔵骨器を「厨子甕(ジーシガーミ)」という。日本民藝館(東京都目黒区)では、この厨子甕をはじめ、世界各地の祈りにまつわる造形物の展覧会を開催中だ。

民藝運動の創始者で、民藝館の初代館長でもある思想家、柳宗悦(やなぎ・むねよし、1889―1961)がもともと収集していた厨子甕に加え、最近寄贈を受けた25基を含む計34基を展覧している。柳は4回にわたって沖縄を訪れ、厨子甕に強く惹かれたという。学芸員の古屋真弓さんは「死者を弔う、という純粋な目的のために作られただけに、そこには自己顕示や個人の欲得からはかけ離れた、民芸そのものの美があります」という。

展示品は、主に第二尚氏の時代(1469~1879年)に作られたもので、素材は石灰岩やサンゴ石灰岩、陶製など。御殿や甕の形をしている。法師や花が彫られ、屋根にしゃちほこを載せたものもある。展示室にずらりと並んだ様は壮観だが、ひとつひとつの厨子甕は素朴な味わいで、死者の魂を包み込む静けさに満ちていた。

 

取材に訪れたのは平日だが、コロナウイルスによる休校なのか、真剣な表情で厨子甕と向き合う親子連れの姿もあった。沖縄以外でこれだけ多くの厨子甕が一度に見られる機会はめったにないという。古屋さんは「何かと落ち着かない昨今ですが、ここは室内も広々としていますし、ゆったりと過ごせます。沖縄の文物が好きな方はぜひおいでください」と話していた。駒場の閑静な住宅街の一角にある施設で、渋谷から電車で2駅(京王井の頭線・駒場東大前)と足の便もいい。3月22日(日)まで。

http://www.mingeikan.or.jp/events/

 

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