フォト・リポート 青木野枝展 東京・府中市美術館

2019年12月14日(土)~2020年3月1日(日) 府中市美術館
彫刻家・青木野枝(1958年生まれ)の東京では20年ぶりとなる個展が実現した。鉄や石膏に加え、ガラス、波板などの素材も用いた最近作を中心に40点で構成されている。
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展覧会を企画した神山さんは「もともとは青木さんを現代彫刻史の中に位置づけることを目論んでいたが、展覧会づくりの過程でその気持ちは消えていた」といい、「もっと大きな文脈のなかで考えてみたい」と語る。会期中、展覧会を見た女性から「風の通る彫刻ね」という感想が寄せられ、監視員からは「涙を流して見ていた方もいた」との報告も。青木さんの作品は、開放感と抱擁感が入り混じり、観る者に自分との対話を促すように見える。だからこそ生まれる問題意識であり、感情なのだろう。
(読売新聞東京本社事業局専門委員 陶山伊知郎)