ニュース 奈良原一高さん逝去。東京で展覧会開催中

戦後の代表的な写真家のひとり、奈良原一高さんが1月19日、心不全のため死去した。88歳。東京都内で開かれている個展、企画展示では20~30代の作品を紹介している。いずれも会期は終盤を迎えている。
「スペイン 約束の旅」展 世田谷美術館
世田谷区・砧公園の世田谷美術館で開催中の「奈良原一高のスペイン 約束の旅」は、1962~65年のヨーロッパへの旅から生まれたシリーズ「スペイン 偉大なる午後」から120点、「ヨーロッパ・静止した時間」から15点を選び、関連資料と合わせて展示している。「祭り」「町から村へ」「闘牛」をテーマにしたスペインの熱情あふれる世界と、パリ、ヴェネチアなどを写した静寂を感じさせる街の情景が並ぶ。奈良原さんは近年、療養中だったが、開幕後に家族と会場を訪れたという。1月26日まで。


「人間の土地/王国展」 JCIIフォトサロン
半蔵門のJCIIフォトサロンで開かれている「奈良原一高『人間の土地/王国 Domains』展」は、長崎県・端島(通称軍艦島)や鹿児島県・桜島で暮らす人々の姿をとらえた「人間の土地」(1956年)と修道院や女性刑務所の閉ざされた世界を撮ったシリーズ「王国」(1958年)から計68点を紹介している。2月2日まで。
「無国籍地」 東京国立近代美術館
北の丸公園の東京国立近代美術館では、所蔵品展示「MOMATコレクション」の中に 「奈良原一高『無国籍地』」の特集展示コーナーが設けられ(3階第9室)、戦後の軍需工場跡をモチーフにした1950年代半ばの作品22点が展示されている。また、同館1階で開催中の「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」にも「王国」から12点が展示されている。いずれも2月2日まで。