おおらかで澄み切った田園風景 「森田恒友展」開幕(福島県立美術館)

優しい田園風景を描く画家として知られ、明治末から昭和初期にかけて活躍した森田恒友(1881-1933)の芸術世界を紹介する「森田恒友展」が23日、福島県立美術館で開幕した。
森田は、画塾の不同舎と東京美術学校で学び、はじめは先輩の青木繁から影響を受けた浪漫主義的な洋画を描いた。卒業後は『東京パック』などの雑誌や新聞に挿絵や漫画を描き、美術文芸雑誌『方寸』の創刊に携わる。1914年にヨーロッパへ渡ると、セザンヌに深く傾倒し、その影響を強く受けた作品を制作したが、翌年帰国して日本各地を旅するうちに、水墨表現が日本の風景に適していることを見出した。また大正初期には福島県山都の田代家に滞在し、清澄な日本画を発表する。
約30年ぶりの回顧展となる本展では、洋画、日本画の主要作品および雑誌、書簡などの資料を展示し、初期から晩年にいたるまでの足跡をたどって、その魅力を紹介する。2020年1月19日まで。その後、埼玉県立近代美術館(2月1日~3月22日)に巡回する予定。