速報!五輪イヤーは記念展が目白押し~私立4美術館が2020年の予定を発表~

スポーツの祭典と言われる五輪だが、開催国ではさまざまな文化イベントも開かれる。2020年の東京大会に際しても、国内でさまざまな文化芸術プログラムが展開される。五輪イヤーの熱気の中で、美術展もにぎやかなラインアップになりそうだ。

1029日、東京都内の私立美術館4館が合同記者発表会を開き、2020年の展覧会予定を発表した。バウハウス開校100年、中国・北宋の「鉅鹿(きょろく)」遺跡発掘100年、さらには「分離派建築会」設立100年、永青文庫創設70年、画家・神田日勝(にっしょう)没後50年など節目を祝う展覧会も少なくない。美術館ごとに見てみよう。

 

 永青文庫

215日~415日 古代中国・オリエントの美術 ―国宝“細川ミラー”期間限定公開―

425日~621日 新・明智光秀論 ―細川と明智 信長を支えた武将たち―

74日~830日  翁(仮称)

912日~118日 永青文庫名品展―没後50年“美術の殿様”細川護立コレクション—

永青文庫の歩みを語る橋本麻里・副館長。日本美術に造詣の深いライターとしても活躍中。(29日、東京都内で)

 「古代中国・オリエントの美術」は、永青文庫を設立した細川家16代の細川護立(もりたつ:18831970年)が購入した中国美術のコレクションとイスラーム陶器やタイルなどのオリエント美術の優品を、近代洋画の巨匠・梅原龍三郎や安井曾太郎が中国を題材に描いた作品などとともに紹介する。

 「新・明智光秀論」は、細川家初代の細川藤孝が親しかった戦国武将・明智光秀に焦点を当て、最新の研究をもとに、光秀や織田信長らの書状、史料などによって新たな明智光秀像に迫る。光秀の娘で細川忠興と妻となった玉(ガラシャ)の生涯も紹介。

「翁」(仮題)は、細川家の歴代当主が関心を寄せた能の原点ともいわれる「翁(おきな)」を中心に、能面、能装束などを紹介する。

「永青文庫名品展」は、細川護立の没後50年にあたって、古美術から近代絵画にわたる護立のコレクションの軌跡をたどる。菱田春草の「落葉」「黒き猫」(いずれも重要文化財)や修理後初公開となる「細川澄元像」(重要文化財)など。

 

東京ステーションギャラリー

2019127日~2020126日 「坂田一男 捲土重来」

28日~45日 「奇蹟の芸術都市バルセロナ」

418日~628日「神田日勝 大地への筆触」

717日~96日 「開校100年 きたれ、バウハウス-造形教育の基礎-」

919日~118日 「もうひとつの江戸絵画 大津絵」(仮称)

1121日~202127日 「ハリー・ポッターと魔法の歴史」

個展を見る機会がほとんどない作家を取り上げ、美術ファンに発見の楽しみを提供している東京ステーションギャラリー。冨田章館長が直々に各企画の説明を行った

 坂田一男(18891956年)は1920年代のパリで世界の前衛芸術の最前線にいた日本人画家。「坂田一男 捲土重来」は、今年、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した造形作家で批評家の岡﨑乾二郎氏が監修を務め、知られざる坂田の全貌に迫る企画だ。

「奇跡の芸術都市バルセロナ」は長崎、姫路、札幌、静岡などで開かれた全国巡回展の最終会場。ピカソ、ミロ、ダリら19世紀から20世紀にかけて活躍した芸術家の作品とともに、国際都市バルセロナの芸術における軌跡を追う。

「神田日勝 大地への筆触」は北海道・十勝で農業に勤しむ傍ら制作を続けた昭和の画家・神田日勝の没後50年記念展。神田日勝はNHK連続テレビ小説「なつぞら」の登場人物のモチーフとなり一躍注目を集めたが、冨田館長は「企画はそれ以前から進めており『便乗』ではありませんから」とユーモアを交えつつ、画家としての神田の真価を問う本展をアピール。東京展の後、北海道河東郡鹿追町(神田日勝記念美術館)、札幌に巡回する。

「きたれ、バウハウス」は、1920年代を中心に前衛芸術の旗手を担ったドイツの造形芸術学校バウハウスの伝説的ともなった授業に焦点をあてる。

「もうひとつの江戸絵画 大津絵」は、江戸時代に東海道の大津(現在の滋賀・大津)周辺で旅人を主な顧客として描かれた大衆向けの絵画「大津絵」に光を当てる。パリで展覧会が開かれるなど、近年注目を集めている大津絵の魅力に迫る。

「ハリー・ポッターと魔法の歴史」は、世界的人気のファンタジー文学「ハリー・ポッター」の世界を、大英図書館が収蔵する資料や、著者の直筆原稿、スケッチにより紹介。

 

静嘉堂文庫美術館

118日~315日 -「鉅鹿」発見100年― 磁州窯と宋のやきもの

411日~531日 江戸のエナジー 風俗画と浮世絵

627日~922日 美の競演 静嘉堂の名宝(仮題)

1013日~126日 能をめぐる美の世界 ~初公開・新発田藩主溝口家旧蔵能面コレクション~(仮題)

“饒舌館長”の異名をもちユーモアたっぷりに語る河野元昭館長は日本近世美術の権威

 

「磁州窯と宋のやきもの」では、中国・宋時代(9601279年)の陶磁器のひとつ「磁州窯(じしゅうよう)」の逸品を、国宝「曜変天目(稲葉天目)」など宋磁の名品などとともに紹介する。「東洋のポンペイ」と呼ばれることもある北宋時代の都市遺跡「鉅鹿(きょろく)」の発見1世紀を記念した企画。

「江戸のエナジー」は、近世初期の風俗画から浮世絵への展開に焦点をあてた企画。円山応挙「江口君図」や静嘉堂文庫に秘蔵されていた約600点に及ぶ浮世絵版画の一部や初公開の肉筆浮世絵なども展示される。

「美の競演」(仮題)では古美術の名品を中心に紹介。近年修理が施された重要文化財の孫君沢「楼閣山水図」(中国・元時代)なども修理後初公開される

「能をめぐる美の世界」(仮題)は、越後国新発田藩主溝口家旧蔵の能面コレクションを初公開。大名家秘蔵の能面と、関連する工芸品、書籍などを展示する。

 

パナソニック汐留美術館

111日~322日  モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展

411日~623日  ルオーと日本展 響き合う芸術と魂―交流の100

718日~922日  特別企画 和巧絶佳展 -令和時代の超工芸―

1010日~1215日 分離派建築会100年展

パナソニック常務執行役員も務める遠山敬史館長は今年4月に着任した

 

「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展」は1930年代から60年代にかけで芽吹いた日本のモダンデザインの歩みを、第二次世界大戦前に来日したブルーノ・タウト、アントニン・レーモンドらの事績を交えてふり返る。

「ルオーと日本展」は、1920年代から日本人の心をとらえてきたルオーの魅力を、国内外で所蔵されている日本にゆかりのあるルオーの作品を集めて紹介する。

「和巧絶佳展」では、「現代における工芸美」をテーマに、レディー・ガガの靴をデザインした舘鼻則孝ら、現代美術、デザイン、工芸にわたる1970年以降生まれの作家12人の作品を公開する。

「分離派建築会100年展」は、1920年に結成され28年まで活動した「分離派建築会」に焦点を当て、明治時代の様式建築から機能的なモダニズム建築に向かう時期に日本独自の様式を模索した「分離派建築会」の足跡を検証する企画。

 ◇ 

五輪イヤーとさまざまな周年が重なり、名品、代表作が数多く公開される一方、それぞれの美術館のコレクション、企画の持ち味が発揮されたラインアップ。来日外国人向けの説明も従来以上に工夫が凝らされるはずで、若い世代にとっても格好の入門編になりそうだ。

 

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