清方の名作が勢ぞろい 「鏑木清方 幻の《築地明石町》特別公開」開幕(東京国立近代美術館)

美人画で名を馳せた日本画家・鏑木清方(1878-1972)の代表作として知られながらも、1975年以来所在不明であった幻の《築地明石町》と、あわせて三部作となる《新富町》《浜町河岸》の3点をお披露目する「鏑木清方 幻の《築地明石町》特別公開」(東京国立近代美術館ほか主催)が1日、東京国立近代美術館で開幕した。
鏑木清方は東京・神田生まれ。はじめは浮世絵画家の水野年方に師事し、新聞、小説の挿絵画家として画業をスタートしたが、のちに日本画家として活躍し、特に美人画は人気を博した。そんな清方が描いた美人画の中でも、1927年に発表した《築地明石町》は近代日本画史上に輝く名作として知られている。1975年以来、長らく所在不明だったが、2019年6月、同館が同じく所在不明だった《新富町》、《浜町河岸》とともに新たに収蔵した(3点の収蔵の経緯については、こちらの記事をご参照ください)。
本展はこれを記念し、三部作と同時に、同館所蔵の清方作品を特別に展示するもの。重要文化財《三遊亭円朝像》や十二幅対の《明治風俗十二ヶ月》、六曲一双の屏風《隅田河舟遊》、弟子の伊東深水が描いた《清方先生寿像》などが並ぶ、贅沢な展示となっている。12月15日まで。