The Okura Tokyo 開業 大倉集古館もリニューアル

谷口吉郎デザインのロビー空間を再現

株式会社ホテルオークラ東京が運営する「The Okura Tokyo」(ジ・オークラ・トーキョー)が9月12日、2015年に閉館した東京・虎ノ門の旧「ホテルオークラ東京 本館」跡地に開業した。
東宮御所や帝国劇場を設計し、文化勲章も受章した建築家・谷口吉郎(1904~79年)を設計委員長として建てられた旧「ホテルオークラ東京 本館」は、日本の伝統美と現代的な機能性を併せ持つホテルとして世界的に高い評価を得た。建て替えは谷口の長男でニューヨーク近代美術館(MoMA)の改修などを手がけた建築家・谷口吉生さんを中心とする設計チームが担当。旧本館のインテリアや装飾をできる限り再利用、再製作して継承し、優れたデザインと快適さで国内外の利用者から愛されたロビーも「オークラ プレステージタワー」5階に再現された。

ロビーの壁面(右)は、富本憲吉がデザインした「四弁花文様」を再現
「オークラ プレステージタワー」の建物立面

「オークラ・ランターン」も復活

ロビーの象徴とも言うべき、梅の花に見えるテーブルとイスのセットを再び配置した空間は、旧本館にあった時と変わらぬたたずまいを見せる。古墳時代の首飾りに使われていた水晶の切子玉をモチーフにした照明器具「オークラ・ランターン」も、電球をLEDに変更して再利用。色絵磁器の人間国宝・富本憲吉がデザインし、龍村美術織物が制作した四弁花文様の壁面も、龍村が当初の図面に基づいて再制作した。谷口吉郎が古いオランダの海図に想を得てデザインした大きな世界時計も、都市名などを更新して復活した。

なお、株式会社ホテルオークラ東京によると「『The Okura Tokyo』は新生ブランドであり、従来の『ホテルオークラ東京』とは別個の扱い」となる。

大倉集古館の外観。手前の池と緑が情趣を添える

大倉集古館でリニューアル記念「桃源郷展」

「The Okura Tokyo」の「オークラ プレステージタワー」と向かい合う大倉集古館も、5年半にわたる増改築工事を終えてリニューアルオープン。11月17日まで記念特別展「桃源郷展―蕪村・呉春が夢みたもの―」を開催し、新たに収蔵した呉春(1752~1811年)の「武陵桃源図屏風」を初公開するとともに、中国絵画における桃源郷の図像表現の展開、呉春の師・与謝蕪村をはじめとする江戸絵画やそれ以降の日本における桃源図の変遷をたどる。

呉春「武陵桃源図屏風」 江戸・天明4~5年(1784~5年)ごろ 六曲一双 絹本著色 大倉集古館

横山大観「夜桜」を新しい展示ケースで

大倉集古館は大正6年(1917年)、大倉喜八郎が日本初の私立美術館として設立。現在の建物は昭和3年(1928年)に伊東忠太の設計で開館した。「普賢菩薩騎象像」(平安時代・12世紀)、「随身庭騎絵巻」(鎌倉時代・13世紀)、「古今和歌集序」(平安時代・12世紀)の国宝3点、重要文化財13件など美術品約2500件を収蔵。横山大観「夜桜」(六曲一双)など近代日本画のコレクションでも知られる。
2014年4月から改修工事を行い、地下階(展示スペース、収蔵庫、事務室など)を増築。その地下階の下に免震層を設けて建物全体を耐震化した。また、エレベーターを新設し、低反射ガラスの展示ケースを採用。映り込みがほとんど気にならない鑑賞環境を実現している。

横山大観「夜桜」 昭和4年(1929年) 六曲一双 大倉集古館

2019年9月12日(木)~11月17日(日)
大倉集古館リニューアル記念特別展
「桃源郷展―蕪村・呉春が夢みたもの―」

直前の記事

美のパトロンでもあったフランスの大女優 「パリ世紀末 ベル・エポックに咲いた華 サラ・ベルナールの世界展」開幕(神奈川・横須賀美術館)

19世紀末から20世紀初頭、アール・ヌーヴォーが輝き始めた頃、 演劇・芸術・ファッションで人々を魅了した大女優サラ・ベルナールを取り巻く文化を多面的に紹介する「パリ世紀末 ベル・エポックに咲いた華 サラ・ベルナールの世界

続きを読む
新着情報一覧へ戻る