見どころ紹介「北大路魯山人」展 千葉市美術館で開催中

陶芸家、料理人、書家として明治から昭和にかけて活躍した芸術家、北大路魯山人(きたおおじ・ろさんじん、18831959年)の陶器、漆器、書、絵画などを集めた展覧会「没後60年 北大路魯山人 古典復興 現代陶芸をひらく」展が、千葉市美術館(千葉市中央区)で825日まで開かれている。

魯山人は、当初書や篆刻の分野で活動したが、中世以来、日本の文化の核となった茶道を中心とする伝統に触れ、陶芸復興を代表する作家として、一躍知られるようになった。そうした魯山人の多様な作品と共に、発想の源となった中国や朝鮮の陶磁器や、織部、志野、信楽(しがらき)など日本の古陶磁も合わせて展示している。さらに、魯山人と同様に安土桃山時代のやきものなどに着目して制作した陶芸家、荒川豊蔵や加藤唐九郎らの作品を加え、昭和に花開いた魯山人の芸術を、古典復興と現代陶芸の創造という文脈で紹介している。

北大路魯山人の「染付花鳥図花入」(右:1939年頃、京都国立近代美術館蔵)と「染付詩文大花入」(中:1941年頃、八勝館蔵)。魯山人は白地に青の絵柄を施した中国の染付に注目し、自ら染付作品をつくった。

 

左奥から石黒宗麿、加藤土師萌(はじめ)、北大路魯山人(手前2点)による「赤絵」の競演。

 

手前は魯山人の「志野銀彩大丸鉢」(1951年頃、八勝館蔵)。志野焼は、16世紀後半、岐阜県可児(かに)市や同県多治見市付近で生産されたとされる幻のやきもの。魯山人はその伝統復興にも挑んだ。

 

北大路魯山人「織部間道文俎鉢」1953年頃 八勝館蔵  織部焼は緑色の釉(うわぐすり)や大胆な造形で知られる。魯山人は、織部焼の色や文様に魅せられ、料理が映える器として好んで取り上げた。

 

魯山人の作品は、第二次世界大戦後にアメリカを中心として海外でも紹介され、魯山人と海外の作家との交流も生まれた。その一人である彫刻家、イサム・ノグチ(19041988年)は、1951年暮れから、魯山人の鎌倉の家の離れに仮住まいをして、やきものなどを制作している。この時の作品は、52年に鎌倉で開かれたノグチの個展に出品され、八木一夫ら日本の若い陶芸家たちに大きな影響を与えた。

イサム・ノグチ「ひまわり」(右:1952年 草月会蔵)、八木一夫「金環蝕」(中:1948年 京都市美術館)、同「春の海」(左:1947年 個人蔵)

 

今回の展覧会は、魯山人ゆかりの名料亭として知られる名古屋の老舗料亭・八勝館や世田谷美術館の塩田コレクションを中心に構成される。企画にあたった同美術館の上席学芸員・藁科(わらしな)英也さんは、作品調査の過程で、中京地区の「蔵の深さ」、つまりコレクションの豊かさを実感したという。八勝館ばかりでなく、美術館や博物館・資料館の所蔵作品にも中国の古いやきものから安土桃山時代のものまで「よくもまあこれだけ」と思うほどの古陶磁があった。今回の展覧会は、そうした中京地区の知られざるやきものの「上澄み」に触れられる機会にもなっている。

没後60年 北大路魯山人  古典復興 現代陶芸をひらく

2019年427日(土)~ 69日(日)  愛知県・碧南市藤井達吉現代美術館

20019年7月  2日(火) ~ 825日(日) 千葉市美術館

2019年9月14日(土)~ 121日(日)   滋賀県立陶芸の森 陶芸館

千葉市美術館で同時開催されている所蔵作品展「やっぱり素敵な人だった -勅使河原蒼風、棟方志功の作品を中心に―」は、千葉市美術館の所蔵・寄託作品から、近代日本画の巨匠、竹内栖鳳、村上華岳や、戦後、世界的に活躍した勅使川原蒼風、棟方志功ら、大正から昭和の作品18点を展示。魯山人の時代の芸術的背景を点描風に見せている。825日まで。

 

棟方志功「釈迦十大弟子二菩薩」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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