「高橋秀+藤田桜ー素敵なふたり」展、東京・世田谷美術館で開催中

 

絵画、版画、立体作品などを手がける美術作家の高橋秀さん(1930年生まれ)と、妻で書籍・雑誌の表紙絵や絵本を中心に活躍する布貼り絵作家の藤田桜さんの2人展「高橋秀+藤田桜 素敵なふたり」展が、東京・砧(きぬた)公園の世田谷美術館で91日まで開かれている。終了後は、岡山、兵庫、福岡を巡回する。

 

1958年に結婚した二人の半世紀以上にわたる歩みを、高橋さんの作品90点、藤田さんの218点でふり返る展覧会だ。ひとつの空間を分け合うような展示は、夫婦二人展ならではのもの。1960年代半ばから約40年間に及んだイタリア滞在の間の画風の変化も興味深い。

イタリアに渡る前の高橋さんの油彩画、ミクストメディア(さまざまな素材による)作品と、藤田さんの「『よいこのくに』表紙画」(展示ケース内)。

 

 世田谷美術館副館長の橋本善八さんは「二人は新婚時代を世田谷区で過ごした縁があり、いつか(二人展を)開催したいと思っていた」と企画の経緯を語る。夫妻は現在、岡山県倉敷市に居を構えているが、橋本さんの重ねての申し出に応じ、東京を起点にした全国巡回展が実現したという。

  

イタリア時代の二人の作品。藤田さんの「『ぴのっきお』絵本原画」(手前ケース内)と高橋さんの「ヴィーナス誕生」(壁面右側のピンクとブルーの作品)など。

 

高橋さんは1961年に若手洋画家の登竜門で「画壇の芥川賞」とも呼ばれた安井賞を受賞したが、イタリア政府招聘留学生に選ばれ、63年にイタリアにわたった。日本の画壇で安井賞作家として生きるよりも、海外で自身の創作を突き詰める道を選んだという。60年代初頭から二人と親交のある俳人・美術評論家・医師の馬場駿吉さんは、「高橋さんはイタリアに渡ってしばらくは自由に見聞を広めていたようだった。その後、イタリアの現代作家フォンタナの芸術に触発されるなどして、新しい独自の画風が現れた」と渡欧後の変化を証言する。

 

高橋さんの「紅華/Rosso Fastoso」(左)と「三億光年/300 Milioni di anni luce」

 

展示室の壁を覆うような高橋さんの大作「紅華/Rosso Fastoso」と「三億光年/300 Milioni di anni luce」は、平成時代初期の作品だ。

 

2004年に帰国して以来、二人は倉敷市にアトリエを構え、今なお制作を続けている。近作は、それぞれのコーナーを設けて展示されている。

 

手前が藤田さん、奥が高橋さんの近作を展示したコーナー。

 

二人の歩みは、NHK Eテレの「NHK 日曜美術館」でも紹介される。728日(日)午前9時と84日午後8時の2回放映予定。

開会式(7月5日・世田谷美術館)に出席した藤田桜さん(前列左)と高橋秀さん(同右)。後列は来賓として参列した馬場駿吉さん。

「高橋秀+藤田桜ー素敵なふたり」

201976日(土)〜91日(日)    東京・世田谷美術館

2019914日(土)〜1022日(火・祝)岡山・倉敷市立美術館

2019112日(土)〜1222日(日) 兵庫・伊丹市立美術館

202014日(土)〜224日(月・休)  福岡・北九州市立美術館

 

 世田谷美術館2階展示室では、所蔵作品による「それぞれのふたりー池田良二と海老塚耕一」展を7月21日まで開催中。銅版画家の池田良二さん(1947年生まれ)と、彫刻、銅版画などを手掛ける海老塚耕一さん(1951年生まれ)の版画作品を紹介する。展覧会に合わせて発行された小冊子には、池田さん、海老塚さんと同美術館の酒井忠康館長との対談が収録されており、二人の作り手としての考えが自身の言葉で紹介されるなど、恰好の鑑賞の手引きとなっている。2階小コーナーの「追悼ー彫刻家・最上壽之」は最上さんの彫刻作品と墨のドローイング、パブリックアート作品の記録写真(写真家・村上慎二さん撮影)などを展示。7月21日まで。

直前の記事

新着情報一覧へ戻る