ウィーン・モダン展から 友情は絵の中に

リヒャルト・ゲルストル 「作曲家アルノルト・シェーンベルクの肖像」 1907年頃 ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz

 肖像画には描き手とモデルの関係性が表れる。絵の中の男性はくつろいだ様子でソファに腰掛け、たばこをくゆらせている。画家に気を許しているようだ。
 男性は作曲家のシェーンベルク。長調、短調といった調性を持たない無調の音楽を生み出し、西洋音楽の伝統を覆した。画才にも恵まれ、油彩なども手がけた。彼に絵の手ほどきをしたのが、本作を描いたリヒャルト・ゲルストル(1883~1908年)だ。
 ゲルストルは孤高の画家で、クリムトらの芸術家集団に反発。自作を展覧会で発表することもなかった。シェーンベルクを心の支えにしていたに違いないが、その妻と深い仲になってしまう。友情は破綻し、画家は命を絶った。2人が親密だった記憶は、絵の中でひっそりと息づいている。

 

ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道
【東京展】
会期:開催中~8月5日(月)
会場:国立新美術館(東京・六本木)
【大阪展】
会期:8月27日(火)~12月8日(日)
会場:国立国際美術館(大阪・中之島)

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