ウィーン・モダン展から 荒い筆触 独特のリズム

エゴン・シーレ 「美術批評家アルトゥール・レスラーの肖像」 1910年 ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz

 背広姿の男性が褐色の濃淡で描かれている。背景は白と淡いピンク。簡素な絵だが、荒い筆触が画面に独特のリズムを刻む。
 作者のエゴン・シーレ(1890~1918年)は、この絵を手がけた1910年に転機を迎えていた。装飾性豊かな画風の巨匠、グスタフ・クリムトの影響から脱し、独自の道を歩き始めたのだ。新たな伴走者となったのが本作のモデル、美術批評家アルトゥール・レスラーだ。2人は09年に出会い、シーレは物心両面の支援を受けた。
 人物の内なる情動をとらえることに秀でたシーレ。本作も、節くれだった手、穏やかな表情がレスラーの思慮深さを想像させる。画家は28歳の若さで病死したが、2500点以上の作品を残し、その中で主題に永遠の命を与えた。

 

ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道
【東京展】
会期:開催中~8月5日(月)
会場:国立新美術館(東京・六本木)
【大阪展】
会期:8月27日(火)~12月8日(日)
会場:国立国際美術館(大阪・中之島)

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