「室町将軍」展、7月から九州国立博物館で

京都・等持院に伝わる足利将軍像。13体がそろって寺外で公開されるのは初めて

将軍、揃い踏み。 

特別展「室町将軍 戦乱と美の足利十五代」が713日(土)〜91日(日)、九州国立博物館(福岡・太宰府)で開かれる。 足利将軍家を中心に生み出された文化、美術の結晶を、約130件の文物(内、国宝約14件、重要文化財約70件)によって紹介する。福岡以外への巡回はない。7月下旬に繰り広げられる太宰府の夏の風物詩、天神まつりなどとともに人気を呼びそうだ。

室町文化

朝廷が分裂した南北朝時代から、国中が群雄割拠の戦国時代まで、室町将軍の時代は、激動の時代だった。ともすれば争乱に目が向きがちだが、武家文化に公家文化、大陸文化などを取り入れ、独自の美の世界を築き上げた文化の時代でもある。足利将軍家の菩提所となった京都・等持院に伝わる歴代将軍の彫像全13体を公開するほか、南宋の画家・牧谿(もっけい)の「遠浦帰帆図」(重要文化財、京都国立博物館蔵)など将軍ゆかりの「御物(ごもつ)」等が展示され、その栄華と軌跡に迫る。

室町ブーム

今、この室町時代が注目される。『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』(呉座勇一著:中公新書)がベストセラーとなり、中世の名刀を含む刀剣展に人気が集まるなど、室町ブームとも言えそうな勢いである。

 

剣豪将軍・義輝が配下に与えた備前長船派の名刀など

 

重要文化財「洛中洛外図屏風」(部分)16世紀 千葉・国立歴史民俗博物館蔵、画像提供:国立歴史民俗博物館 室町将軍邸(右端)が描かれた現存最古の洛中洛外図屏風

227日に都内で開かれた報道発表会で、同館副館長の伊藤嘉章さんは「室町将軍の像を所蔵する京都・等持院の建物の改修工事にあたって、像の保管を引き受けることになったのが発端」と説明。この機に室町美術展の決定版を開催しようと「空前絶後、金輪際」の企画に発展したことを明かした。

  応援大使に歌手のサラ・オレインさん

九州国立博物館が東京で報道発表を行うのは初めてで、発信力強化の姿勢がうかがわれる。同館館長の島谷弘幸さんと共に、1月に応援大使に就任したオーストラリア出身の歌手のサラ・オレインさんも登壇。オレインさんは、今後、同館のイベントなどに出演する予定。

「室町将軍」展をPRする九州国立博物館の島谷弘幸館長と九博応援大使のサラ・オレインさん(2月27日、東京都内で)