「ミケランジェロと理想の身体」 【私の1点(中)】 松井冬子さん(画家) 苦難を経た「完璧な美」

ミケランジェロ・ブオナローティ 「若き洗礼者ヨハネ」 1495-96年 ウベダ、エル・サルバドル聖堂、ハエン(スペイン)、エル・サルバドル聖堂財団法人蔵 撮影・木奥恵三

 ミケランジェロの彫刻は、どの角度から見ても美しい。まさに「完璧な美」そのもの。ミケランジェロがわずか20歳すぎで制作したこの像にも、身にまとう毛皮の表現などの細部に天才の力量を感じる。
 20世紀前半の戦争で破壊されたが、近年修復された。補完部分がわかるよう継ぎ目が残り、戦争で焼け焦げた頭部も黒いまま。苦難の歴史を伝えるが、「完璧な美」を追求したミケランジェロはこの姿を見てどう思うのかな、なんて想像してしまう。(談)

 

松井冬子さん(画家)

 

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