「ミケランジェロと理想の身体」 【私の1点(上)】 江國香織さん(作家) 謎を残した未完の傑作

ミケランジェロ・ブオナローティ 「ダヴィデ=アポロ」 1530年頃 フィレンツェ、バルジェッロ国立美術館蔵 撮影・木奥恵三

 背中の石塊(せっかい)は投石器か矢筒か。その回答次第でこの傑作の主題はダヴィデにもアポロにもなる。謎とノミ跡が残る未完の彫刻は、しかし、片足に重心をかけ体をねじるポーズなど古代ギリシャの表現ルールにのっとって制作された「職人」の作品だ。作家の個性を発揮しにくい条件にもかかわらず、時間や空間を超えて迫り来るミケランジェロらしさを表現できることがすごい。
 それにしても未完の作品を多くの人に鑑賞されるとは、「職人ミケランジェロ」は嫌がるだろうか。(談)

 

江國香織さん(作家)

 

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