ルーヴル美術館展から 慎み深い視線の先は

ヴェロネーゼ(本名パオロ・カリアーリ) 「女性の肖像」、通称「美しきナーニ」 1560年頃 Photo©RMN-GP(musée du Louvre)/M.Urtado/AMF-DNPartcom

 そのまなざしの先に、何を見つめるのか。顔を少し右に傾かせた女性の視線は、鑑賞者と決して交わらない。
 ルーヴル美術館でダ・ビンチ「モナリザ」と同室にある傑作だ。どの位置の鑑賞者とも視線が合う「モナリザ効果」と異なり、目線をそらした姿が印象深い。この慎み深さから、豪華な衣装の女性は貴族の母とされる。ヴェロネーゼ特有の明るい彩色の光は白肌を輝かし、高貴さの中に成熟した美しさも示す。
 本展は、ルーヴルの名品約110点を結集させ、「肖像芸術」の魅力と果たした役割を紹介する。作品のまなざしも見どころだ。
 中でも本作は、目が合わないからこそ、鑑賞者の視線を深く引き込む名品だ。

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