プラド美術館展 【私の1点(5)】 角田光代さん(小説家) 宗教画 生々しく描く

フランシスコ・デ・スルバラン 「磔刑のキリストと画家」 1650年頃 ©Museo Nacional del Prado

 宗教画が好きだ。肖像画や静物画とは違い、画家は実際には見たこともない人物や光景を描き、見る側も、これがイエスでこれが十二使徒のだれと納得させられるのは、考えれば不思議なことだ。
 このスルバランの作品、十字架のイエスを画家が描くという絵画ははじめて見た。幻想的でありながら、布の質感やパレットの絵の具など、手触りや匂いが伝わってきそうなほど生々しい。画家の目には、もしかしたらマリアもイエスも、実際にそこにいる人のように見えているのかもしれないと思わせる絵画だ。

角田光代さん(小説家)

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