プラド美術館展 【私の1点(2)】 森村泰昌さん(美術家) 数々の名画 残した王

ディエゴ・ベラスケス 「狩猟服姿のフェリペ4世」 1632-34年 ©Museo Nacional del Prado

 フェリペ4世。一度見たら忘れられない顔立ちである。度重なる近親結婚によってもたらされたスペイン・ハプスブルク家の「血」は、今回出品されているカレーニョ・ミランダ「甲冑姿のカルロス2世」まで至ったところで途絶する。
 しかし、プラド美術館の母体となった絵画コレクションの数々を収集し、また巨匠ベラスケスを後世に残したのは、他ならぬこのフェリペ4世であった。
 美には必ず毒がある。そして、芸術とは美に至る病のことである。フェリペ4世の青白い顔を見ながら、密(ひそ)かにそう思う。

森村泰昌さん(美術家)

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プラド美術館展 【私の1点(1)】 及川光博さん(ミュージシャン、俳優) 未来の王 迫力際立つ

 展示室で作品と対面すると、絵の持つ重厚さや、世界にたった一つという本物の迫力を感じました。特に、未来のスペイン国王となる王太子を描いたこの作品は、他の作品と比較しても存在感が際立っています。  ベラスケス特有の粗い筆遣

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