プラド美術館展から 巨匠と競った哲学者像

ディエゴ・ベラスケス 「メニッポス」 1638年頃 ©Museo Nacional del Prado

 メニッポスは、まじめな内容をおもしろおかしく語ったと伝えられる古代ギリシャの哲学者。ベラスケスは、裾がすり切れたオーバーを羽織る貧しい老人として描いた。少しおどけた表情で振り返る一瞬を捉えたスナップ写真のようで、見る者に親近感を抱かせる。
 寓話(ぐうわ)作家イソップの肖像とペアで王族の狩猟休憩塔に飾られた。巨匠ルーベンスの工房が、同じ塔のために哲学者ヘラクレイトスとデモクリトスを対で描くことを知り、制作したとされる。
 ベラスケスが29歳の時に知り合い、最も影響を受けたのがルーベンスだった。出会いから10年。成熟度を増したかつての若者が、22歳年上の大画家に挑むかのようだ。そのヘラクレイトスの絵も出品され、本作の隣に展示されている。

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