プラド美術館展から 「ベラスケスの空」鮮やか

ディエゴ・ベラスケス 「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」 1635年頃 ©Museo Nacional del Prado

スペインの美の殿堂が誇る傑作絵画を並べる会場で、威風堂々とした騎馬姿の少年が目を引く。次期スペイン国王と目されていた6歳の王太子を、宮廷画家を務めていたベラスケスが描いた。
背景には、二つの頂が目印の山脈を望むマドリード郊外の景色が描かれている。実景描写の習慣がなかった当時のスペイン絵画では、革新的なことだった。
ベラスケスは30歳の時にイタリアに旅行し、屋外でスケッチしてから風景画を制作するという手法を知ったのだろう。雄大な自然を目の当たりにした時の画家の新鮮な感動が、素早い筆致で描かれたみずみずしい山並みから伝わってくる。
王太子は不慮の病に倒れ、16歳で早世する。悲運を知る今となっては、「ベラスケスの空」と形容される鮮やかな青空がもの悲しい。

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