幻のモネ「睡蓮」、発見

印象派の巨匠クロード・モネが描いた「睡蓮――柳の反映」(1916年、油彩・
カンヴァス)が2016年9月にパリで発見され、昨年11月に寄贈を受けたと
国立西洋美術館(東京)が発表した。
本作品は、実業家の松方幸次郎が1910年代半ばから1920年代半ばにか
けて主にヨーロッパで収集した「松方コレクション」に含まれていたが、60年
以上もの間、所在が分からなかった。
松方コレクションのうち、フランスで保管されていた約400点は、第二次世
界大戦末期にフランス政府に接収された。戦後、日仏政府間の交渉を経て、一部
を除いて日本政府へ寄贈されることとなり、これらの作品を展示・公開するため
の施設として1959年に国立西洋美術館が創設された。本作品は、戦後の返還
交渉の中でリストから漏れてしまい、忘れ去られてしまったと考えられている。
昨年、パリ・ルーヴル美術館内で発見されたのち、松方家の所有と判断され、松
方家から国立西洋美術館に寄贈されることとなった。
本作品は、松方がモネのアトリエを訪ねて直接購入した作品。パリ・オランジ
ュリー美術館に設置されているモネ芸術の集大成、「睡蓮」の大装飾画の連作に
関連づけられる重要な作品で、馬渕明子・国立西洋美術館長も「モネ芸術のプロ
セスを示す作品のひとつであり、非常に貴重な発見」と話した。戦時中に劣悪な
環境で保管されていたせいか、画面の半分近くが欠損してしまっているが、残さ
れた画面のみでも相当な面積があり、モネ作品の魅力を伝える可能性を十分に持
つとされる。
同館では、約1年かけて本作品の修復を行った後、2019年6月から開催さ
れる開館60周年記念「松方コレクション展」(仮称)にて展示公開する予定。