(下)朝顔 ドーム兄弟も魅了

HOKUSAIが西洋に与えた衝撃
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葛飾北斎は、エミール・ガレやドーム兄弟といったアール・ヌーボーの作家たちにも影響を与えた。19世紀末から20世紀初頭にかけて優雅な装飾を追求した彼らは、北斎の描く動植物を工芸品の図案の参考にした。デザイン性に優れ、生き生きとした描写が新鮮だったからだ。西洋には切り花などを題材にした静物画はあったが、土に根を下ろした植物を主役に据える作品はほとんどなかったのだ。
朝顔は格好の題材だったようで、本展にもガラス器が数点出品されている。 ![]() ドーム兄弟 花器:朝顔 1907-10年頃 ガラス ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、ロンドン © Victoria and Albert Museum, London 仏ナンシーを拠点としたドーム兄弟の花器も、その一つ。北斎が絡まり合うツルと複雑な向きの花や葉で表した生命感を、大ぶりの花と太く簡潔なツルで表現している。北斎作品から東洋の自然観のエッセンスを抽出し、自作に昇華させている。 |