(中)モネも捉えた見えない風

HOKUSAIが西洋に与えた衝撃
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無数の懐紙が宙に舞う。めくれ上がったり、波打ったり。葛飾北斎は、一枚一枚に表情をつけて風の動きを見事に捉えた。
目に見えないものや、波など形の定まらないものをも描き出す「画狂」ぶり。透視図法にのっとった西洋画にはあまり見られない、手前中央に樹木を配して画面を分断する構図。新たな表現を模索していた西洋の画家たちは、北斎の風景画にも衝撃を受けた。 ![]() アンティーブ岬 1888年 油彩/カンヴァス 愛媛県美術館 「富嶽(ふがく)百景」など北斎作品を数多く所有していた印象派の巨匠、モネもその一人。批評家に「北斎の忠実なライバル」とも評されたモネは、本作で真っ向勝負を挑んだかのようだ。荒々しく描かれた樹木の葉とさざ波が、風を感じさせる。 |