【第7回】「ハカセとNARIのときめくアート」もの派の李禹煥(リ・ウファン)の大規模回顧展が兵庫県立美術館で開催

関西在住のマンガ家NARIさんが西日本を中心に美術館や展覧会を訪れるマンガ「ハカセとNARIのときめくアート」。7回目の今回は、兵庫県立美術館で12月13日に開幕した特別展「兵庫県立美術館開館20周年記念 李禹煥」(2023年2月12日まで)をレポートします。

待望の兵庫開催!

「もの派」を代表する国際的な美術家、李禹煥(リ・ウファン)の大規模回顧展が、ついに兵庫県立美術館にやってきました!
兵庫県立美術館と言えば、世界的な建築家、安藤忠雄が設計したことで知られています。直島にある李禹煥美術館も安藤忠雄の設計ですが、ここ兵庫では、李禹煥作品と安藤建築はどんなハーモニーを奏でるのでしょうか。ハカセとNARIの二人も期待でいっぱいです!

「もの派」って何?

李禹煥は、1936年に韓国慶尚南道に生まれました。ソウル大学校美術大学に入学した1956年に来日。その後、日本大学で哲学を学びました。「もの派」の代表的作家として活躍し、国内外で作品を発表してきましたが、近年ではグッゲンハイム美術館やヴェルサイユ宮殿で個展を開催するなど、その活躍はより世界的な広がりを見せています。

「もの派」とは、石や木などの素材をほとんど加工することなく組み合わせて、「もの」同士の関係を提示する芸術の動向のことです。とはいえ、言葉で説明されてもなかなか実感しにくいのではないでしょうか。「百聞は一見に如かず」とも言います。ここは、頭で考えるよりも先に、作品を観に行くことにしましょう!

《風景Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ》は李禹煥初期の作品です。ピンク、赤、オレンジの蛍光色に塗られた3つのキャンバスを、室内を囲むように展示することによって、色が空間を侵食していきます。作品の前に立つと、色のなかにどっぷりと浸かったような感覚になり、なぜか温かさまでも感じました。

《関係項-サイレンス》は、柔らかい照明に照らされた個室に置かれた作品です。白いキャンバスの前に置かれた大きな石は、キャンバスをじっと見つめているようにも見えます。無機物であるキャンバスと石が、置かれる位置によって、単独では成立しなかった意味や情景を見せてくれます。鑑賞者は作品と対峙することによって、「無限」の世界を垣間見られるのかもしれません。

歩くと音がする展示も


企画展示室の間にある「光の庭」には《関係項-棲処(B)》の展示があります。ル・コルビュジエの建築で発表された作品が、安藤忠雄建築でも再制作されることになりました。なんとこの展示は、作品の上を歩くことができるのです。床に敷き詰められた石板を踏むと、「ガタガタ」と音がして、石の動きを体で感じることができます。石なのに生命力を感じる作品なのが本当に不思議です。(屋外展示のため、天候により作品内に入ることができない場合があります)

空間と響き合う絵画作品

李禹煥の絵画作品も数多く出品されています。なかでも最新の作品である《応答》は、キャンバスの一部分にだけ濃厚な着色が施され、余白が大きく取られているのが特徴です。余白があることで色と余白が響き合います。また、《応答》シリーズが複数展示されている展示室では、展示空間全体が響きあっているように感じられます。絵画が空間の響き合いを呼び起こすという、非常に画期的な鑑賞体験のできる場が形成されています。

兵庫県立美術館の「円形テラス」に


兵庫県立美術館の人気の場所「円形テラス」には、今回の展覧会のために制作された新作《関係項-無限の糸》が展示されています。螺旋階段の中央に白い糸が垂れさがり、床にはステンレス製の円盤が設置してあります。円盤をのぞき込むと、螺旋階段の中央から糸が天まで無限に伸びているように見えるのです。安藤建築の作り出した空間と、李禹煥の作品が作り出す空間が響き合い、新たな芸術作品が誕生した現場を目撃できます。
また、美術館の外には、《関係項-棲処(B)》を真上から見られる場所がありますので、探検してみるのも面白いでしょう。

音声ガイドは無料!

今回、音声ガイドはなんと無料で、自分のスマホで聴くことができます。とても分かりやすいガイドなので、オススメですよ!

というわけで、難解な現代アートのように思って、すこしビビり気味のNARIでしたが、すっかり李禹煥作品に魅了されてしまったのでした。(ハカセくんは、ずっと前から大好きだそうです)

(アート探訪インスタグラマー、マンガ家・NARI)

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兵庫県立美術館開館20周年記念 李禹煥
会場:兵庫県立美術館(神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1HAT神戸内)
会期:2022年12月13日(火)~2023年2月12日(日)
休館日:月曜日(1月9日は開館)、12月31日~1月2日、1月10日
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで
入館料:一般1,600円、大学生1,200円、高校以下無料、70歳以上800円
詳しくは美術館の展覧会公式ページ

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