【和田彩花のカイエ・ド・あーと】第15回 ルドンが描く、花が好き

ルドンが描く、花が好き

最近、オルセー美術館で見たオディロン・ルドンの装飾画をきっかけに、ルドンの描く植物ってこんなに素晴らしかったのかと改めて感じていました。

そこでルドン作品を多数コレクションしていることで知られる岐阜県美術館のウェブサイトを覗いてみたところ、数年前に展覧会で観た《黒い花瓶のアネモネ》という作品を発見しました。この作品のポストカードを買って、部屋に飾っていたのでよく覚えています。

それから、三菱一号館美術館のコレクションにはルドンの《グラン・ブーケ》があったりするなど、日本でもルドン作品をこんなにも楽しめる環境があるって素晴らしいな…なんてふと思ったり。

ただ、今までルドンの花をモチーフにした作品を見る機会が何度かあったにも関わらず、なんとなく綺麗だなと思っているばかりでした。

今回は、《黒い花瓶のアネモネ》を通して、ルドンが描く植物についてお話してみようと思います。

オディロン・ルドン《黒い花瓶のアネモネ》
オディロン・ルドン《黒い花瓶のアネモネ》
1905年頃 パステル、紙
岐阜県美術館蔵

ルドンは、木炭による素描や銅版、石版を制作していくところから画業を始めました。眼球や顔をモチーフに、少し不気味に感じてしまうような作品を制作していきます。

1890年頃からは、黒一色から、色彩を用いた表現まで可能になるなんて、その振り幅はルドンの中でどのような感覚として繋がっているのでしょう。

展覧会で《黒い花瓶のアネモネ》を見たときは、花瓶を囲む紫の色彩部分と元気のなさそうなアネモネの組み合わせがルドンらしく、黒の花瓶の色のアクセント含めて素敵だなと思っていました。

ですが、先日オルセー美術館で見たルドンの印象はまた違ったものだったんですよね。

画面の下の方に花が落ちていたり、タンポポの綿毛のように植物が浮いているようにも見えました。根を張った植物でもなければ、花瓶に収まっていられる花でもありません。また、そんな花たちの動きが画面を構成しているようにも感じました。

それは、黒の時代の眼球や顔が動植物のようなものとあわさって、画面を自由に動き回っていくように、ルドンの花もまた画面を自由に動き回れる花なのかもしれません。

そんなことを踏まえながら《黒い花瓶のアネモネ》をみていくと、枯れてしまっているのか? 下を向いたアネモネや、左上になんだか不自然な高さで伸びていくアネモネを発見します。

なぜかここにきて《グラン・ブーケ》にも感じていた、あっちこっち向いている花の描写に気づきました。当たり前のことをいってしまいますが、《黒い花瓶のアネモネ》もルドンの画業にとって、大切な過程の一つだったんだな、なんてことを感じました。

ちょっとしたきっかけで、今までなんとなく綺麗だと思っていた作品に言葉を当てはめることができ、嬉しいひとときでした。

<ココで会える>
岐阜県美術館は、国内外問わず近現代の絵画・彫刻・工芸等の多岐にわたる名品を収蔵。なかでも、19世紀末に登場した象徴主義を代表するフランスの画家、オディロン・ルドンとその周辺の作家たちを積極的に収集、個性豊かなコレクションを形成している。7月22日までコレクション「ルドンの色」展も開催中、ルドンの油彩画等を中心に紹介している。
美術館公式サイト

和田彩花
和田彩花1994年8月1日生まれ、群馬県出身。アイドル。2009年4月アイドルグループ「スマイレージ」(後に「アンジュルム」に改名)の初期メンバーに選出。リーダーに就任。2010年5月「夢見る15歳」でメジャーデビューを果たし、同年「第52回日本レコード大賞」最優秀新人賞を受賞。2019年6月18日をもって、アンジュルム、およびHello! Projectを卒業。アイドル活動を続ける傍ら、大学院でも学んだ美術に強い関心を寄せる。
初のソロアルバム「私的礼讃」が好評配信中!

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