【愚者の旅―The Art of Tarot】第0回 タロットって何?

東京タロット美術館 ⓒShinichi Sato

「タロット」というと、何を想像するだろうか?

占いのツール? ゲームに使うカード? それとも古代からの叡智を引き継ぐ神秘主義の象徴?

どれも正しい、だけどどれも正しくない。

タロットカードは、14世紀から15世紀にかけて、イタリアで成立したと言われている。もともとは貴族が優雅に遊んでいた「絵入りカード」だったようだ。18世紀から19世紀にかけて占いに使われるようになり、さらにヨーロッパを席巻した神秘主義と結び付いた。20世紀に入ってユング心理学などの影響もあり、さらに複雑な意味づけ、解釈が行われるようになった。

・・・・・・あれ? タロットって中世ヨーロッパで出来たモノなの? じゃあ、「エジプトの叡智」とか「カバラの秘密」とか、関係ないんじゃない?

いやいや、ところがそうでもない。タロットには、大きなヒミツがある。

タロットのカードは全部で78枚。大アルカナ22枚、小アルカナ56枚で構成されている。小アルカナは、棒、金貨、剣、聖杯の意匠に数字が加わったトランプのようなカード。大アルカナには「愚者」「戦車」など、様々な絵が描かれている。この絵が何に由来しているのか、どうしてこの絵柄が選ばれたのか。正確なところは誰にも分かっていないのだ。

そこにはグノーシス主義など、東方から伝わった叡智が反映しているのかもしれないし、ヨーロッパにある民間伝承や中世の社会状況が影響しているのかもしれない。当時の詩歌や絵画の中にあるモチーフが入り込んでいるかもしれない。

いずれにしてもタロットのヒミツは、そこに描かれている「絵」の中にある。最初のカード「愚者」から最後のカードの「世界」まで、それはひとつながりの物語として捉えることもできる。15世紀の昔から21世紀の現代まで、様々な絵柄で、様々な絵師たちが描き続けてきたタロットカード。それは、数々のテーブルを彩ってきた「小さなアート」なのだ。

そんな「タロット」のヒミツを、古今東西の「絵」を楽しみながら解き明かしていこうというのが、今回の企画だ。ナビゲーターを務めるのは、タロット研究家で図案作家のイズモアリタさん。カードを提供してくださったのは、世界でたったひとつ、タロットを専門とする東京タロット美術館(東京・浅草橋)。それでは、いざ、深遠なるタロットの世界へ――。

(美術展ナビ 取材班)

東京タロット美術館のロゴマーク ⓒShinichi Sato

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